昨日に続いて睡眠導入剤マイスリーのお話。
マイスリーは『超短時間作用型睡眠導入剤』と呼ばれており、飲んですぐに効いて、その後すぐに効き目が切れる。
血中濃度が最高値に達する(つまり効き始め)までに約30分、血中濃度の半減期(効き目が切れる時間)が約3時間とされており、かの悪名高きハルシオンと同じように、寝つきの悪い人によく処方される。
この薬のいい所は、早くよく効く割に、半減期が短いため、翌朝にまで眠気を引きずらないことだ。
僕は毎晩服用しているが、復職して以降、寝坊したことはない。
ただ、当然のことながら、副作用もある。
『一過性前向性健忘』だ。
これは"服薬後寝るまでの出来事を覚えていない、夜中に起きたときの出来事を覚えていない"(※お薬110番から引用)というもので、これがさらにエスカレートすると、ごく稀にではあるが夢遊病のような状態にまで発展することもある。
アメリカでは寝ている間に食事をしたり、車を運転しようとしたりする症例まで報告されているらしい。
2ちゃんねるではこのことを『小人が出た』と呼び、メンタルヘルス板で結構盛り上がっている。
「寝ている間に部屋が片付いていた」
「メールで片思いの人に告白してた」
などなど、あたかも寝ている間に小人さんが現れて、ひと仕事してくれたような出来事が多数書き込まれている。
2ちゃんねるの住人は、なぜか小人の出現を歓迎する傾向にあるのだけれども、一歩間違えれば大惨事になりかねないので、僕はかなりびびっている。
なので、この薬が処方された当初から、僕は嫁に
「夜中に不審な行動をとったら全力で止めてくれ」
と、お願いをしておいた。
そして、服用後はすぐさま布団に入り、極力小人の出現を抑えようとしていた。
にも関わらず。
出てしまった。小人さんが。
しかも、あろうことか、その引き金を引いたのは嫁。
どうやら僕の小人さんは、何か行動をとったわけではなく、ほんの数十秒しゃべっていただけらしいのだが、僕はまったく記憶がない。
ただ、夜中になにかむにゃむにゃ言っていたので、嫁がうっかり話しかけたところ、突然語り始めたらしい。
小人「あなたは人生の勝ち組です!」
嫁「えっ? なんで私が勝ち組なの?」
小人「それは僕と結婚したからです!」
嫁「えぇっ!? なんでcorenoさんと結婚すると勝ち組なの??」
小人「それは僕が今後、努力してなんとかします」
ここまできて、ようやく嫁が、「これが例の副作用だ」と気付いたらしく、
嫁「よし分かった! もう寝ろ!」
といったところ、
小人「はい! 寝ます!」
といって、素直に寝たらしい。
この話を翌朝嫁から聞かされた僕は、自分自身に呆れてしまった。
いったいどこにそんな強気な考えがあるのかと。
ダンナがうつ病って時点で、うちの嫁は十分に負け組だよね。
僕の小人はすごく傲慢なのだ。
どうせしゃべるなら、もっと崇高なことを言ってくれればいいのに。