今月は久しぶりの食道外科の造影CTと血液検査、それと頭頸科の鼻カメ(経鼻内視鏡)の診察があったが、いづれも特に異常は無し。
正直に言えば、LDLコレステロールなどが高い高脂血症。原因に心当たりはあるのだが、生活習慣の改善はなかなか難しい。脳や心臓の血管が詰まらないように、せめてもの対策としてこまめな水分補給だけは心掛けている。
食道がんステージⅣaと確定診断を受けたのが2021年の6月初旬。それから放射線と抗がん剤で治療を行って、終了したのが7月末。その後再発することもなく4年が経過した。
その間、再発や転移はなかったが、食道に1か所、下咽頭に3か所の新しいがん(異時性多重がん)が見つかった。いずれもステージ0の初期に見つかったので内視鏡手術(ESD)で済んでいる。
今は治療の後遺症も無く、食道がんになる前と同じように、そうめんはズルズルと食べ、冷たい飲み物はゴクゴクと飲める。普通のことを普通にできる。ステージⅣaの食道がん患者としては理想的な治療経過を辿って来ていると思う。
何故今の自分があるのかと振り返ってみると、もちろん放射線治療が奏効したからであるが、それ以外にも幾つかの巡り合わせがあったように思う(過去ブログの内容と重複)。
◾️手術不適のステージⅣaだったこと
私が食道がんと診断された時には腫瘍が気管を押し込み浸潤している可能性があるということでステージⅣaとされた。手術は不適なので放射線治療となったのだが、もしもう少し早く病院に駆け込んでいたらステージⅢかⅡだったかも知れない。
すると当然手術を勧められたと思うが、その時の私には知識が全く無かったので、医師の勧めに素直に従って手術を受け入れていたのではないかと思う。もちろん、放射線治療というものがあるということは把握したであろうが、術前化学療法(抗がん剤治療)が始まってしまうと、きっと誰かに遠慮して、誰かに知らないことを聞くことを躊躇って、放射線治療医の話を聞きたいとかセカンドオピニオンを受けたいとかなどの行動もとらなかったように思う。
何か不条理のようだが、ステージⅡやⅢではなくステージⅣaだったから、私は今、食道や胃袋を温存できているのだと思う。
(参考)
僅か4年だが、今は手術も放射線治療も治療成績(生存率)は同等という認知が広まって、臓器を温存できる可能性がある放射線治療を選択する人も増えつつあるようだ。
◾️がん専門病院に転院したこと(食道外科医との出会い)
放射線治療が終了して1か月ほど経った頃、がんが小さくなったので今なら手術ができるということで救済手術(根治的化学放射線治療後に行う手術)を勧められた。手術は希望していなかったがセカンドオピニオンを受けた2人の医師も手術を勧めたので手術を受けることにした。
ただ、通常の食道手術も年間数件しか行なっていない公立総合病院でより難しい救済手術を受けるのはリスクが高すぎると思いがん専門病院に転院した。そこで再検査したところがんが消えている(臨床的完全奏効cCR)という診断となり、予定していた手術は中止、経過観察となった。
当初は公立総合病院での検査とがん専門病院との検査の間にセカオピ受診、転院、再検査などと時間が掛かってのでその間にがんがゆっくりと消えていったのだと思った。そうなのかも知れないが、今は別な捉え方もしている。
公立総合病院の外科医は手術積極派(だと思う)。手術前にいろいろ検査して例えがんが見当たらなくとも(cCRであっても)どこかに目に見えないがん細胞が残っている可能性があるので、再び増悪、転移する前に手術するのが良いと考えていたのだと思うし、そうした考え方は現在も外科医の主流の考え方のように思う。
それに対してがん専門病院の外科医(今の主治医)が私に言ったのは「がんがない人に手術はできない」だった。がん専門医であるから、目に見えない(検査では見つからない)がん細胞がどこかに残っていて再発する可能性があるのは当然把握している。その上で、積極的経過観察(いわゆるアクティブサーベイランス、大腸がんでいうwatch and wait)にするという判断だった。
他の病院や他の外科医であれば、そのまま救済手術を行なっていたかも知れない。結果として私は救済手術を受けることもなく、今も食道と胃袋を温存できている。
(追記)
AI君に聞くと、根治的化学放射線治療の後に臨床的完全奏効(cCR)だった場合や、そこまでは至らなくても著効だった場合には直ちに手術するのではなく経過観察とし、短期に再検査/再評価する方が一般的だという。つまり、がんが見当たらなくても手術する外科医の方が主流というのは違っているのかも知れない。術前化学療法の場合と混同してしまったようだ。
◾️がん専門病院に転院したこと(内視鏡医との出会い)
食道がん患者に多いのが多重がん。私も原発食道がん以外に、これまでに食道に1つ、下咽頭に3つの異時性のがんが見つかった。
食道の異時性のがんは、普通なら内視鏡手術(ESD)でサクッと切除できる初期がんの段階だったが、最初のがんを放射線治療した後の瘢痕の直ぐ隣だったため難しい内視鏡手術となった。もし切除(剥離)できない場合にはアルゴンプラズマガスで焼く(APC)という代替え策も用意しての手術となったが、なんとか普通のESDで切除できた。
下咽頭のがんは発見が難しく、見つかった時には内視鏡手術(経口的手術)の適用外となり、放射線治療や外科手術となることも多いようだが、私の場合は初期がんの段階で見つけてもらったのでESDで切除できた。3つの腫瘍は2つの断片に分けて切除されたが、2つの傷跡の間には5mmほど表皮が帯状に残されていた。比較的大きな面積の表皮を剥離したのに、嚥下時に特に違和感を感じないのはそういう工夫のお陰なのかも知れない。
ふと思うのは、転移することなく以前の公立総合病院で経過観察を続けていたら、やはり同じように早期発見ができただろうか、早期に発見できたとして同じように治療できただろうかと言うことである。異時性の食道がんは食道亜全摘手術、下咽頭のがんは後遺症が残る可能性がある放射線治療か最悪の場合には喉頭摘出手術となっていたかも知れない。
偶然なのか、単に運が良いだけなのかは分からないが、食道がんステージⅣaと診断された私だが、今のところは何の後遺症もなく暮せていることに感謝🙏
(おまけ) 今年のスイカはイマイチだった
市民農園を借りて野菜栽培をしている。その内の3畳ほどのスペースを使って、ジャガイモを収穫した後の6月からスイカ栽培するのが最近の定番。今年のようにカラ梅雨で高温の日々が続くと成熟が早く、7月下旬には収穫時期を迎える。今年は5個だけで大きさも味もイマイチだった。何が悪かったのか、幾つか心当たりがある。
今の調子なら来年もあると思うので、その時にはもっと上手く作ろうと思う。