先日の手術では2箇所の病変を切除する予定だったのに手術中にもう1箇所見つかって3箇所に増えた。これは手術の前にヨード染色(ルゴール染色)した時に初めて見つかったものに違いない。 


 食道の場合には内視鏡検査の時にヨード染色して観察することがあるが検査後の胸焼け感は結構辛い。もし下咽頭に染色用のヨード液を吹き付けるとかなり酷いことになる。そのため下咽頭の場合は全身麻酔を行った後の手術の前にしかヨード染色を行えないのだろうと思う。


 私のヨード染色した下咽頭の術中写真をみると白から茶褐色まで幾層にも重なり合った"まだら模様"。私の食道はまだら食道だが、下咽頭も立派なまだら咽頭だったようだ。 


 つまり今後も食道や咽頭に異時性多重がんと呼ばれる新たながんが幾つか(幾つも?)見つかる可能性が高い。一般的な意味とは少し違うが、一生がんと共存して生きて行くことになりそうだ。 


 これまでも、そしてこれからも私のがん治療で最も重要なのは内視鏡医。早期のがんは内視鏡検査以外では殆ど見つけられない。特に下咽頭がんは見付けにくいのでスキルのある内視鏡医に出会うかどうかで予後も大きく変わってくると思う。


 以前にも書いたような気もするが、私は2年ほど前までは転院を考えていた。私は最初は自宅近くの総合病院で放射線治療を行い、その後の救済手術を受けるために片道2時間位かかる今のがん専門病院に転院した。ところが、がんが消えていると診断され手術は中止、経過観察となった。経過観察だけなら元の総合病院でも同じだろうと思い、時期を見て転院しようと思っていた時に下咽頭がんが見つかった。


 病変は2箇所で、生検鉗子でほぼ取り切れてしまう程度の大きさだった(5mm以下?)という。病理検査の結果は下咽頭がん。その病理診断が出てから更に2、3週後にバルサルバ法での内視鏡検査を再度行った。


結果、手術となると全身麻酔でそれなりに大変だし、病変が小さく取り切れちゃったかも知れないので、そのまま経過観察にしましょうということになった。 


 検出が難しいと言われる下咽頭のがんを超早期に見つけることも凄いが、がんが見つかっても直ぐに手術する必要はないと判断することはどの医者にも行えることでは無い。


 経過観察ならどこの病院でも同じということは決して無い。それ以降、私は転院することなど全く考えていない。 


 ちなみに一説では下咽頭や食道に検査で見つけられる限界の5mm程度のがんが見つかってから1〜2年であれば内視鏡手術が可能なレベルであることが多いという(異時性の新たながんの場合)。生検鉗子で摘み取ってほぼ見えなくなり、その後も3~4か月毎頻繁に内視鏡経過観察を行うのであれば確かに急いで手術する必要は無さそうだ。 


 それから2年半以上経過して行ったのが今回の下咽頭ESD手術。切除した3箇所の内2箇所は場所的に考えて恐らく以前からのものの再燃。今回、新たな病変も見つかり合併切除できたことだし、良いタイミングで手術したと思っている。




中央の緑に囲まれた広い路は有明からお台場まで続くシンボルプロムナード。気分が良い時にはお台場のガンダムの所まで歩くこともある。電車はゆりかもめ



 (蛇足) 

私の加入している医療保険は入院前60日と退院後180日は通院補償が付く。と言うことは昨年8月の退院から180+60日後の今年5月以降に入院するのが一番効率的ということになる。今回の入院は偶然、たまたまこの時期になっただけのことである。