どのようながんでも早期に発見し、治療できれば大事になる可能性は低くなる。

下咽頭がんの場合も早期に発見できればESDやELPSなどの経口的切除ができる可能性があるが、その時期を逃すと手術か放射線治療という事になる。手術では場合によっては喉頭摘出となり声を失う可能性がある。放射線治療では唾液が出にくくなったり味覚障害が起きやすい。何より放射線治療は1回しか出来ないので、私のように食道や咽頭が多発する人にとってはなるべく早期に発見し、経口的に切除してもらうのが良い。

 

初期の段階の下咽頭がんは内視鏡検査で見つけるしか無いが、その発見は難しく、見逃すことも多いのだという。以前、担当の内科医(内視鏡医)に「人工知能による画像診断が進化すると楽になりますね」と言ったことがある。その時の答えは「その前に内視鏡で捉えることが難しい」とのこと。なるほど、病変がカメラに写らなければ如何に優れたAIでも診断しようがない。下咽頭がん、特に初期の下咽頭がんは内視鏡を入れると自然に映るようなものではなく、そこに何かあるに違いないと思って探しに行かないと見つからないもののようだ。

 

それは下の写真(古畑ケン三郎先生のブログから拝借)を見ると良くわかる。

左が通常時の下咽頭の写真。中央が声帯/声門で下咽頭は下の方にあるのだが喉頭蓋に隠れて良く見えない。右がバルサルバ法(顎を上げ、喉元を膨らませて息を止めるような姿勢)をとった時のもので下咽頭全体が良く見える。

 

喉元をこちょこちょするとオェっと嘔吐反応が出るので内視鏡検査が苦手な人が多い。私も大の苦手なので普段の経口内視鏡検査では鎮静剤を使ってもらい寝ている間に調べてもらう。ところが、バルサルバ法を行うには患者が起きていて協力する必要があるので、鎮静剤は使わないか、ほんの少ししか使ってくれない。私もバルサルバ法での検査を2、3度行ったことがあるが、吐き気の連続で結構辛い。

 

患者が苦しまないように下咽頭の診察を行うにはいろいろテクニックが必要らしく、ネット上には内視鏡医向けのテクニック解説がいくつも見つかるが、患者に出来ることは限られている。

 

その一つは、内視鏡検査の前に「何かノドに違和感があるような気がするのでよく見て下さい」などと言ってみることだろうか。違和感があると断言しているわけではなく、そんな気がするだけなのできっと許容範囲だろう。

 

食道がんになった人は下咽頭がんになりやすいが、早期に見つけてもらえればきっと何とかなるに違いない。

 

 

(蛇足)

 

1年前、隣家の換気扇フードの所で見つけたコガタススメバチの巣。コガタと言っても女王蜂は小指の太さ位はあり、長さも3cm以上とかなり大型。発見時は、まだ女王蜂1匹だけだったのでビニール袋を被せてサクッと撤去した。

何事も早期発見が大切である。