初詣に行って来ました。

 

神社の拝殿の前には、近くの酒蔵から奉献された酒樽が積み上げられている。参拝の後の参道横には御神酒所が設けられ、巫女さんがお酒が振る舞っている。奉納の掲示板には正月ということもあり、酒1升、酒2升などの奉納が目立つ。いつもの正月の神社の風景だ。

 

その昔、アマテラスの弟スサノオがヤマタノオロチに酒を飲ませ泥酔しているところを退治したという神話もあり、神社神道とお酒の関係は密接だ。お酒の話は日本だけでは無く、ローマ神話やギリシャ神話には酒の神が登場するし、エジプトの壁画やメソポタミアの土器にはアルコールをモチーフとした絵が描かれており、人類とアルコールの関係は相当に古い。

 

      アルコールで酔倒れ、担いで運ばれるエジプト人

 

正月に限らず冠婚葬祭、いや普段の生活でも人が集まる場にはアルコールが欠かせないものだし、飲みニケーションという造語があるようにアルコールは人間関係を構築する上での重要なツールでもある。

 

そんなお酒の文化にも最近は少し変化が見られるようだ。

若者世代を中心に飲まない人達が徐々に増えて来ており、会社の宴会や仕事帰りの飲み会も敬遠されがちだという。日本の酒類販売量は年々減少傾向にあり、未成年者や男性の飲酒も減って来ているが、女性の飲酒者だけは増加傾向が続いているそうだ。

 

私はと言えば、それまで毎日多量に飲酒していたのだが、食道がんになって断酒した。もう2年半、続いている。

 

断酒なぞとても無理だろうと思っていたが、意外なくらいすんなりと止められた。

食道がんステージⅣと診断され、人生最大の、これまでに経験した事がない非常事態となった。放射線と抗がん剤での治療が続いている間はアルコールを飲みたいと思う心の余裕は全く無かったし、酔っ払って寝ている時間などもう残っていないと思ったので断酒できたのだろう。

 

その後、治療が一段落するとたまに飲みたくなることもあるが、食道が狭窄して食べられなかった時を思い出し、また再発して手術とでもなれば食べる楽しみを失うことになると思って踏み止まるようにしている。

 

別に少しくらい飲んだからといって、それでがんが再発するということでも無いとは思うが、一度飲み始めるときっと止まらなくなる。いつの間にかまた毎日多量に飲酒する生活に戻るに違い無いので怖くて迂闊に手を出せない。ノンアルコール飲料も同じで、飲むと物足りなさを感じて本格的に飲酒を始めるに違いないので避けている。

 

幸いここ2、3年はコロナ禍で冠婚葬祭をはじめ、人が集まって飲む機会は殆ど無かったのだが、最近復活の兆しも見えて来た。今の所、何かと理由を作って全てお断りしているのだが、これから先どうしたものだろうか…

 

 

(蛇足1)

イスラム教でアルコールが禁止されているのは知られているが、実は仏教でもアルコールは原則禁止されている(不飲酒戒)。仏教の僧侶がお酒を飲むのは日本くらいだという。

 

(蛇足2)

アルコールは日常文化の一部となっているので、飲酒者が次第に減って行くとしても無くなりはしない。ならばアルコールを避けるのではなく無害化する方法は無いものかと調べてみると、L-システインがアルコールの分解を促進し、アセトアルデヒドの解毒効果があると言う。しみ/そばかす、二日酔い、食道がん/咽頭がんの予防にはハイチオールC、だな。