先日、ニュースで厚生労働省の飲酒ガイドライン(案)なるものが紹介されていた。

「アルコールは1日当たり、男性は40g未満、女性は20g未満に」というもの。

確か「1日当たり20g以下」だったような気がしたので調べてみると…

 

健康日本21(第一次)

「節度ある適度な飲酒量」は1日平均純アルコールで約20g程度

 

健康日本21(第二次)

「生活習慣病のリスクを高める飲酒量」は1日当たりの純アルコール摂取量が男性で40g以上、女性で20g以上

 

※純アルコール20g → 5%ビール500ml缶1本、日本酒1号弱

 

昔から酒は百薬の長と言われているように、少量の飲酒ならば全く飲酒しないより健康に良いという、いわゆるJカーブ効果を参考にして作られたのが「節度ある適度な飲酒量」だろう。その背景となるデータもちゃんとあって、少量の飲酒なら血行も良くなって脳梗塞などの一部の疾患には良い効果を生むという。ただし、がんや肝臓病などでは、アルコール量が増えると共に病気になるリスクも高くなるので適度な量は0g。がんになりたくない人は全く飲まない方が良いが、脳梗塞の方が嫌だという人はちょっとだけ適量飲酒するのが良いということなのだろうか?

 

「節度ある適度な飲酒量」という考え方や20gという基準値については様々な意見があるが、それはそれとして幾ら飲んでも良いということでは無いので何か上限となる基準が必要、ということで設けられたのが「生活習慣病のリスクを高める飲酒量」。

 

健康日本21(第二次) は2012年に決められているので、かなり以前からあったもののようだ。それが最近になって「飲酒ガイドライン(案)」という事で報道され、初めて知った人も多いのでは無いだろうか。何故今頃になって、しかも案という位置付けの段階で広く報道されることになったのか良く分からないが、議論百出な気がする。

 

実は上限にはもう一つ「過度な飲酒」というのがあり、これは1日当たり60g以上。

この量になってくると様々なアルコール健康障害や、暴力行為などのアルコール関連問題がより明確に出て来る。「生活習慣病のリスクを高める飲酒量」(黄信号)よりも「過度な飲酒」(赤信号)の方を前面に出して歯止めを掛けた方が一般的な理解も得やすいし、強い施策も打ち出し易いと思うのだが、こちらの方もあまり周知はされていないようだ。

 

私自身は食道がんになって治療開始の日から、もう2年半近く断酒を継続している。断酒も癌と同様、2~3年継続できれば再発(飲酒習慣の復活)し難くいというが、何かのキッカケで再発することもあるので油断はできない。

 

(蛇足)

女性は適度な飲酒量もリスクを高める飲酒量も共に20gとなっているが、適度な飲酒量の記載の下に「女性は男性より少ない量が適当である」と補足があり、別サイトでは1/2~2/3程度という量的目安を書いている所もあった。

 

リスクを高める飲酒量で男女で2倍の差があるのはちょっと疑問がある。男性でも50kgの人も150kgの人もいるので平均的な男女の体格差だけなら理由にはならないだろう。妊娠中や授乳中の子供への影響の懸念なら、肝臓疾患がある人等と同様に注意すべき点として別出しすれば良い。女性ホルモンがアセトアルデヒドの分解を阻害するという話もあり、それが理由なのかも知れないが未確認だ。

 

 

右側の赤い実は南天(難転)だと思う。

この道を行けば難が転じて福となる、癌だって完治するに違いない