ステージⅣaの食道がんで根治的化学放射線治療(dCRT)を行った。
放射線治療終了から1ヵ月後に内視鏡検査を受けたが、その時に主治医は生検は行わなかった。もしその時に救済手術の可能性を考えていたなら、がんの遺残を確認するために生検は必ず行ったハズだ。
以前のブログで医師が生検するのを忘れたのでは無いかと書いた事があったが、そうではない。救済手術という選択肢が無いのであれば生検を行う必要がないのだ。生検陽性なら抗がん剤継続、陰性なら追加治療として抗がん剤継続、どちらにしてもその後の治療は同じなので検査する意味が無かったのだ。
それが何故急に救済手術という話になったのかと言うと、恐らく私の腕が原因だ。
その時までに3回、計3週間ほどの抗がん剤治療を行って、私の腕から点滴用のルートを確保するのは難しくなって来ていた。そのため、その後いつまで続くか分からない治療に備えCVポートを埋め込む手術を行う予定だった。その手術を外科に依頼しに行った時にある外科医が私の状態を知って、今なら救済手術が出来る、このタイミングを逃すべきではないと“思い付いた“のだと思っている。
消化器系の外科医が私のCTや内視鏡の診断画像を見て、一見食道の手術が可能だと思っても、放射線治療後の救済手術の難しさやリスクの高さを知っているだけに、普通なら手術は躊躇すると思う。ただ、その外科医は食道科認定医の資格も持っており、知識も経験も自信もあったので救済手術を提案したのだと思う。
がん拠点病院でもない一般の公立総合病院に食道科認定医がいる事は珍しい。食道がん手術が年間数件しか行われない病院では認定医資格は取れないし、5年毎に更新される資格を維持することすら困難だ。そこに食道科認定医がいたのは、この総合病院の外科はある有名大学病院の系列となっていて、定期的に外科医を派遣して貰っていたからだ。若手の医師も派遣されるが、中堅医師に対しては診療部長というタイトルも用意して迎える。そういうこともあってか、その総合病院の外科には3名、内科には2名も部長がいる。
(つづく)

