私はステージⅣaの食道がんだったので、ステージ0やⅠに適用される内視鏡手術についてはあまり関心が無かった。今回、再発して食道がんの内視鏡手術について調べていると、サイトによって書いていることが違うことに気が付いた。
T1b-SM1の場合に推奨される治療法が違う。
食道がんが粘膜筋層から粘膜下層に飛び出してしまうとステージ0(T1a)からステージⅠ(T1b)になる。粘膜下層にちょっとだけ(200μm=0.2mmまで)飛び出している状態をT1b-SM1というが、その場合の治療法は食道削除手術か放射線治療と書いているサイトと、内視鏡治療が出来ると書いているサイトがある。
調べてみると日本食道学会の「食道癌診療ガイドライン2017年版」では推奨する治療法は手術(または放射線治療)となっているが、日本消化器内視鏡学会の「食道癌に対するEMR/ESDガイドライン」では(初回治療には)内視鏡的切除を推奨している。
そこで昨年発行された「食道癌診療ガイドライン2022年版」を調べてみると、上記の「食道癌に対するEMR/ESDガイドライン」と整合をとって、“T1b-SM1がT1a-MMと鑑別できない場合は“内視鏡手術でも良いことに変更されていた。
内視鏡専門医達が、データも示してT1b-SM1とT1a-MMが正確に鑑別できないからこそ、また手術の患者への侵襲も考えてこの2つを同等に扱おうと述べているのだから、そのあたりの考え方の方も整合をとって欲しいものだ。
それはともかく、WEBサイトだけで無く医師の頭の中もまだ更新されてないかも知れない。「内視鏡手術は出来ないので手術になります」と言われたら、診断された深達度等を念のため確認した方が良いかも知れない。内視鏡手術は出来ないとしても、そのような医師は、ステージⅠでは手術と同様に放射線治療も標準治療として推奨されていることをひょとしたらご存じないかも知れない(知っていても患者には説明しないも知れない)。
(蛇足)
これまでもステージⅠ~Ⅲでは患者が希望すれば放射線治療は可能だったが、その事をきかされることも無く手術した患者も多いと聞く。このため、厚労省は標準治療として複数の治療法がある場合は患者にちゃんと情報を提供するよう求めたと聞くが、それは多分2022年度版「がん診療連携拠点病院等の指定要件 Ⅱ.2.(1).①.イ.ⅲ」のことだろう。拠点病院等以外の一般病院には恐らく無縁の行政文書だ。もっと他にあるのかな?
