たまたま化学放射線治療が奏効しただけの者の戯言である。

 

◾️ステージⅣbでなくて、ステージⅣaで良かった!

 

がんの3大治療法と言えば、手術、放射線療法、薬物療法。

もし、もう少し病期が進んでいて遠隔転移ありのステージⅣbだったら、標準治療は薬物療法(抗がん剤や免疫チェックポイント阻害剤)のみ。もちろん、薬物治療で寛解する人もいるが、勝率が悪い。

 

私の場合、一歩手前のステージⅣaだったので、根治的化学放射線療法が適用できた。結果的に、食道や胃袋を温存したまま癌が消失し、もうすぐ2年が経過しようとしている。

 

 

◾️ステージⅢでなくて、ステージⅣaで良かった?

 

食道がんステージⅣaの5年生存率は20%位だが、ステージⅢなら40%位だという。

ステージⅣaより、ステージⅢで見つかった方が良いに決まっているのだが…

 

ステージⅢだったら、当然標準治療である手術を提案されただろう。

その頃、自分が食道がんであること、自分が永遠に生きられる訳でないことを知り、今の内に何をすべきかで頭が一杯だった。他の治療法とかセカンドオピニオンとかを考える余裕は無く、恐らく医師の提案通りに手術前の抗がん剤治療に入って行ったと思う。それに食道の通過障害がどんどん酷くなって来ていたので、何でも良いから早く治療して欲しいという気持ちも強かった。

 

手術が近づいて来るに従い食道がんの知識も増えて来る。手術するにしても、もっと実績のある病院に転院した方が良いのか、この病院で手術を受けて良いのか疑問を持ったハズだ。

 

食道がんの手術は難しいので、手術実績が少ない病院では実績が多い病院と比べると死亡率や重度の合併症が3倍位多いという。私が受診したのは地域の公立総合病院で、食道がんの手術実績は年間5件程度(2021年秋頃からDPC病院指標に切り替わり、治療実績が年間10件未満なので公表されなくなった)。食道がんで死ぬのは仕方が無いが、手術関連死で死ぬのは嫌だ。

 

その状況で自分はどうしたのか分からない。

既に術前化学療法を開始しており、執刀予定の医師とも何回か話をしているだろう。

それを今更、転院したいとは言い出し難い。食道がんの手術の実績が多い病院に転院したとしても100%上手く行く保証も無い。

 

放射線治療については、私の直感であるが、あの病院では医師の方からそのような選択肢もあると説明される事は無かっただろうと思う。もちろん、そういう治療法もあることくらいは知識として持っただろうが、自分から放射線医の説明を聞きたいと要求する程の積極性は持たなかったような気がする。

 

理由は、

・医師の方から放射線療法は選択肢として提示されなかったから

・放射線治療に関する情報が不足していたから

・手術が主流なので皆と同じで良いと思ったから

・今更、手術をやめて放射線療法に変えたいと言い出し難いから

・もう死ぬかも知れ無いので完治した後の後遺症についてまで考える余裕が無かったから

だろうか…

 

もしあの時、私がステージⅣaではなくステージⅢだったら、恐らく何処の病院で手術を受けていただろう。幸い治療関連死は免れ、生き延びたとしても何らかの後遺症が残る。その時は、この後遺症は命の代償だからと自分を納得させて行きて行くだろう。

 

“もしも“の話にはキリが無い。