ほんの少し前まで、コロナウィルスのPCR検査で、感度が悪いとか、偽陰性率が高いのでコロナ陰性と判定されても油断してはいけない等と盛んに報道されていた。いくら進歩したと言っても今の技術での限界があるだろうから、100%正確な検査を望むのは無理だ。
自分が食道がんで受けたいろいろな検査、その結果も常に正しいとは限らない。
今まで私が受けた検査と言えば、血液(腫瘍マーカー)検査、食道造影(バリウム飲んでレントゲンで動画撮影するヤツ)、経口/経鼻内視鏡、気管支鏡、造影CT、PET/CT検査。あとは、生検で取った標本の病理検査。血液検査以外は、いわゆる画像診断だ。
画像診断は基本的に全て人間が目で見て判定する。もちろん、重要なものは複数人でチェックしているとは思うが、人間が見て判定する以上、誤りがあってもおかしくない。
そう言えば、セカンドオピニオンを受けた時、前の総合病院で指摘されていた左鎖骨下のリンパ節の腫大は転移ではないだろうと言われた。聞くと、CTでリンパ節転移が正しく判定出来るのは50%位しかないそうだ。
左鎖骨下リンパ節に転移していればN4、していなければN3になると思うが、それによって私の治療法が変わる訳では無いのでどうでも良い問題だ。でも、これがもし左鎖骨上リンパ節の話だったら、その判定は重要だ。左鎖骨上リンパ節に転移(ウィルヒョウ転移)ならM1判定でステージⅣbになる。教科書通りだと、手術も根治的化学放射線治療も不適応となり、抗がん剤と免疫チェックポイント阻害剤での治療に限られてしまう。
CTでのリンパ節転移の判定がどの程度正確なのか調べて見ようと思ったが、文献毎のバラツキが大きく難しい。画像診断ガイドライン(2016年版)によるとリンパ節の腫大が10mm以上なら感度30~60%、特異度60~80%、7mm以下のリンパ節腫大ならほぼ鑑別困難だという。CT画像診断でリンパ節転移の疑いありと判定されても実際に転移しているのは30~60%ということだ。より正確な診断が必要な場合は、生検や細胞診等と組み合わせて判定することが必要になる。
このガイドラインでは肺転移についても触れている。リンパ節の場合より検査の感度は良いが、食道がんの患者には喫煙者が多いので、転移ではなく原発の可能性もあり病理学的診断が必要だという。もし肺原発癌なら食道がんの遠隔臓器転移では無いので、ステージⅣbではなくなる可能性がある。
100%正確な検査なんてない。
悪い結果が示されても間違いという可能性もゼロではないハズだ。
自分の命がかかった問題、少しでも疑問があれば、うるさい患者だと思われても主治医に聞く。それで納得できなければセカンドオピニオンでも何でも受けてみるのも手だ。
追記
左鎖骨上リンパ節だけの転移の場合はM1 lymとかM1aとして根治的化学放射線療法の対象になっているようだ。