入院中に看護師から
「自分が想像する最大の痛さを10とすると、どのくらい痛いですか?」
と聞かれることがある。
私はこれが苦手。
“想像を超えた痛み”があると言うから、それに比べたらまだ軽いハズ
痛み止めは欲しいので6にしておこうか
等とつい考えてしまう。
答えるまで看護師は帰らないから
「じゃあ今日は6、いや7でお願いします」
何のこっちゃ。
その内、昨日は6と答えたがそれより痛みが軽いので今日は4にしておこう等、慣れては来る。週末には退院したいので今日は2にしておこう等と変なことを考えてはいけない。
何とでも答えられのだが、こんなので良いのかなと思ってしまう。
これはNRS(Numerical Rating Scale)と呼ぶらしく一応基準があった。
0 痛み無し
1~3 軽度の痛み
4~6 中等度の痛み
7~10 強い痛み
特に10は自分で想像出来る最大限の痛み、だそうだ。
でも中等度の痛みって何だ?
分かったようで、やはり分からない。
少し調べてみると痛みにはISOで決められた国際単位(hanage)があった。
「1cmの鼻毛を1ニュートンの力で引っ張る時に生じる痛み」
が1 hanageだと言う。
この国際単位は珍しく日本人(北大の斎藤教授)が提唱したものらしい。
詳しくはネットで調べてみることをお勧めする。
痛みは大きさだけでは伝えられない。
常時痛い、時々痛い、動かすと痛い、
手のひら位の範囲全体が痛い、ピンポイントでここが痛い、
刺されるように痛い、ジワ〜と痛い、ズキズキする、チクッとする、
痛くて眠れない、殺せェ〜
患者の表現力が問われる。
人によって感じ方が違うので、適当と言えば適当、こんなので良いのかなと思ってしまうが、それで良いのだと気がついた。
医師は患者の血液検査のデータや体温、血圧などの客観的データは把握できても、痛みや苦しさは言葉で伝えないと理解出来ない。医師は(多分)、今の治療のままで良いのか、投薬量等を調節する必要があるのか、他の薬や治療方法に切り替えるべきか等を考えていると思うが、痛さや辛さは患者が言葉で伝えないと分からない部分がある。
典型的な食道がんの患者は60~70代の男性。痛みや苦しさをギリギリまで言わない無口な人も多く、医師が抗がん剤の量や切り替え時期の判断を誤ることもあると言う。
看護師がNRSを聞くのは、患者自身がどう捉えているかを医師に伝え、治療のヒントを与えるため。患者の主観で良いのだ。だから最初に答えた5なら5を自分の基準として、それより痛い、痛く無いで増減するというのは正解だ(と思っている)。
何事も言葉にしなけりゃ伝わらない。
でも“言葉では伝えられないものもある”とも言うよね………えっ!