単純に癌は手術で悪い所を取ってもらえば治ると思っている人は結構多い

 

「治る」ということが「元の健康な状態に戻る」ということを意味するなら食道がんは手術(ここでは食道亜全摘、胃管再生手術のこと)をしても治らない。

 

手術で癌を取り除くことができても、元の食道は摘出され、胃は細く引き伸ばされて食道の代替とされてしまう。

元の体では無くなるのだ。

 

− 胃袋が無いので一度に腹一杯食べるなんて無理

− 細かく噛み砕いてたべないと喉の繋ぎ目の所で食べ物が引っ掛かる

− 早食いすると動悸、発汗、めまい等のダンピング症状が起きる

− 急にトイレに行きたなることがあるので外出し難い

− 食後にうっかり居眠りすると胃液や胆汁が逆流する

− 夜中に逆流することもあるので水平に寝ることが出来ない

− 気管の方にまで逆流すると窒息しそうになったり肺炎を起こしたりする

 

これらは一時的な症状ではない。基本的には一生続く術後後遺症だ

術後に、こんな後遺症がある事は聞いてなかった、こうなるのなら手術すべきでなかったと後悔している人達がいるのをブログ等で時々目にする。

 

一方で、個人差はあるが時間が経って慣れてくると症状は軽くなるらしいし、多少の不都合は命の代償と割り切って、普通に生活している人も多い。

 

いづれにしても医師にはもっと丁寧に説明して欲しいと思う。

手術のリスクや後遺症について、ちゃんと丁寧に説明してくれる医師も多いと思うが、私に救済手術を勧めた総合病院の医師達はそんなことは一言も説明してくれなかった。

手術前ではなく、手術するかしないか治療方法を選択する段階だったからだろうか。

手術を決めた後の術前説明の段階で初めて詳しく説明されても遅いと思うんだけど…

 

 

もう一つ。

 

手術で悪い所を全て取ってしまったつもりでも癌は再発する事がある。

一説には術後再発率20~50%、再発する場合は手術後1年以内が約80%、再発したら5~10ヶ月程度で亡くなることも多いともいう。

 

手術に限らず化学放射線療法でも化学療法でも再発するし、再発したら余後不良なのは同じだ。癌なのだから。

 

もちろん、手術で癌を取り切ることが出来て、再発せずに長期生存が可能な場合も多い。手術が最良の治療方法である場合も多いと思う。

 

でも「手術すれば治る」は間違いだ。

手術前の元の体には戻らないし、程度の差はあっても後遺症が一生残る。

 

追記

・そんな事は分かっていた

・好んで手術を受けた訳ではい

・他に手段が無かった

等とご批判を受けることもあると思う。

でも、それを知らずに手術すれば元の健康な体に戻ると思っている方々もいるのだ。

治療方法を選択する段階の方々に、このブログが何かの参考となればと思う。