ときおり目にする記事に「ファーストクラスの乗客はこんなにすばらしい」という趣旨の記事があります。たいていは客室乗務員あるいは元客室乗務員が書かれた記事です。
私は国際線4,000フライト以上、時間にして2万時間以上、乗客の立場で乗っています。エコノミークラスからファーストクラスまでそのときの状況で利用しています。

 

決してそんなことはないと常々思っているのですが、先日、私と同じような考え方の記事を読む機会がありました。
ファーストクラスに乗ったことがない人にとって、それはお金持ちが乗るものだと思っているでしょうが、お金持ちだからといって品行方正で人間ができているわけではありません。そしてもっというならば本当のお金持ちはプライベートジェットやビジネスジェットを使います。ファーストクラスは数十万払えばよいだけであり、高くても100万円、200万円。所詮その程度です。

私はアメリカ往復が多かったころはファーストクラスを使うことが多かったです。お金があるからという理由ではなく、到着してすぐに仕事をする必要があるので、機内でも寝る間、食事をする時間を惜しみ仕事をしていました。ファーストクラスの食事やお酒をありがたがる人もいますが、そんなものより仕事のほうが大事です。仕事を成功させれば、その報酬はファーストクラスの航空券代なんかすぐに回収できます。高いと思ったことはありません。そして別に私はお金持ちでもなんでもないです。さらに言うと、人として優れているわけでもありません。

概してファーストクラスの乗客にはわがままで自分勝手な方が多いように思います。そしてファーストクラスをうらやましがる乗客には僻みっぽい人が多いように思います。
どっちもどっちで所詮人間ですので、そんなもんだと思います。

ファーストクラスだろうがエコノミークラスだろうが、ただの搭乗クラスです。そんなもので人格や人間性が量れるわけはありません。ゆえに元客室乗務員(たいていは辞めたあとはマナー講師とかをやっているケースが多い)の「ファーストクラスの乗客はすばらしい」という記事を読むたびに、「あなたはそういうふうに人を見て、判断することをするんですね」と嫌味をいいたくなります。マナーを語る資格なんかないよな、と。