日本を捨てて、一年がたとうとしている。

毎週のように海外出張している。
本当はこんなに頻繁に日本にやってくる予定はなかった。

タイで、夜の世界で、若年寄として隠居するつもりだった。
若いヤツラが、もっともっと海外に出て、体ひとつで頑張れば、あたしのような老体が毎週徹夜しなくてもいいのに。


タイは仕事するには最悪の環境だろう。

時間の流れがゆるいし、何事においてもマイペンライ。
そもそもタイ人にとって仕事なんてお金を得るための苦痛以外のナニモノでもない。タイの基本思想、サヌック、サバーイに反するもんな。

そんな中、タイにいても仕事に夢中になるのは、あたしがよっぽどのワーカーホリックなんだろう。
仕事に夢中になって家族を失ったわけだから、仕事以外にすることがない人生なんかな。いや、違うな。満足という言葉を知らないからだと思う。どん底を生きてきたからこそ、何を得ても満足しない。常に危機感と求めるものがある。


もうひとつが女関連の誘惑。

多くの日本人(日本人に限らないが)は夜の蝶におぼれる。
あたしは元々タイ人女性の容姿、体系は好みでない。自身も夜の経験があるので、おぼれることもなく淡々とお友達として接するのみ。

だいたい25年もタイ往復していて、いまさらタイの夜の女性に夢中になるこたぁないわな。


結局、タイにいても日本とかわらない生活をしている。
暖かい気候の中で生活できるから、ヨシとしておこう。



まぁ、結局、強い精神力があれば、まわりに流されることなく生きていけるということ。
あたしの鋼の精神力は筋金入り。

一人で生きていける強い人間ほど悲しいものはない。

生きている意味はないのかもしれない。