タイ料理の中で嫌いな料理、というか、食べたくない料理がある。


ソムタムとカオニァオ。


バンコクに住む人々にとってはお洒落な田舎料理だが、イサーン出身にとっては故郷を懐かしむ家庭の味。




ジュライホテル末期。

そもそも日本人宿というのは嫌いなので、もっぱらナナホテルに泊まっていた。


女遊びが好きという理由ではなく、女遊びをする欧米人連中を観察するのが面白かったのでナナホテルを好んでいた。




ナナホテルの前には夕方になるとイサーン料理の屋台がいくつも出ていた。


ここの屋台で仕事前、あるいは仕事後の風俗嬢と一緒に雑談しながら食事するのが日課だった。

客にならない、そして、タイ語を操る不思議な日本人相手に彼女たちはいろんな話を聞かせてくれた。


バンコクの風俗嬢にはイサーン出身が多い。

家が貧しく同胞を頼って出稼ぎに出てきて、結局は体を売って仕送りすることになる女性が多い。


そんな彼女たちが故郷を懐かしく思い、家族を思い出すのが、この屋台だった。



ほんの一握りの金持ちと、少し増えてきた中流階級、そして多くの貧困者。

バンコクだけをみていると、この現実をみることは少ない。




ソムタムとカオニァオ。

バンコクっ子にとってはお洒落な料理でも、私にはタイの貧困を思い出させる料理。


私の口癖、食は文化。


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