10年ちょっと前は公私ともにタイに行く機会が多かった。


仕事のときは100ドルくらいのホテルに泊まっていたが、私的なときはもっぱら1,000バーツクラスのホテルに泊まっていた。(高級ホテルはドル建て、安ホテルはバーツ建て)


バンコクの安宿といえばカオサンが有名だが、あの雰囲気は今でも好きになれない。
日本人にとってはジュライホテルが思い出深いが今はもうない。ジュライはそれだけで一冊の本になる。それはまた今度のネタにしておこう。


私はもっぱらナナホテル。

目の前の駐車場がいつの間にかにバンコク有数の歓楽街「ナナプラザ」になっていた。


ナナホテルに泊まる客といえば女目的で、ロビーは深夜まで(朝まで?)売春婦で溢れていた。毎夜毎夜生々しい会話が耳と目に入ってきた。

そんな人間模様に興味がありハイネケン片手にヒューマンウォッチングに興じていた。


頻繁に泊まっていると、常連の売春婦とも仲良くなり「仕事の調子はどう?」みたいな会話を楽しむこともあった。決して客になることはなかったし、むこうも私を客の対象とは思わなかったが。


当時はナナホテルもナナプラザも欧米人ばかりで日本人の姿が珍しかったこともあったに違いない。
たまに日本人をみかけても「英語は喋れないけどタイ語ならペラペラだぜ」とか「一度や二度は女に刺されたことがあるぞ」というツワモノ揃いだった。群れることなく一匹狼ばかりだった。そんなヤツラとも知り合いになり、夜な夜な酒を飲み、彼らの武勇伝を聞き入ったものだった。


数ヶ月前に久しぶりにナナホテルのレストランに飯を食いに行った。(このレストランは24時間営業なので便利に使える)

ついでにナナプラザを一周してみた。


日本人が増えたなぁ。

せっかくだから日本語がわからないふりしてまわりの会話に耳を傾けてみた。


上手くは書けないが小粒になっていた。

マニュアル人間というか、耳年増というか、一人じゃ何もできないというか、誰かに道をつくってもらわないと歩けないというか、上手くは書けないがあの頃一緒に酒を飲んだ連中にあった「熱い想い」を感じることはなかった。


買春という行為は好きではないし、それどころかヘドが出るくらい嫌悪している。が、そんな私を納得させるくらい彼らの生き様は信念にみちていた。


あいつら今はどこで何をしているのだろう?