読んでくれてる皆さま

「ここのラーメン食ったら死ぬよ」

そう言われてラーメンを食べた事はありますか?

僕はあります

けっこう前の事ですが、今日はそんな昔話を書こうと思ってます

お時間ある方は読んでって下さいませ


…てか「読んでって下さいませ」とか言っといてなんですが、この話は特にオチも無くなんかこうモヤっと終わる話です

それでも良ければ


今から遡ること20数年前

まだ21〜22歳くらいの若者だったある日、当時一緒にバンドをやっていたメンバー2人とスタジオ終わりに高円寺で飲んでいた

バンドの事やら何やら、話に熱中して気付いたら2時くらいになってて終電を逃していた俺たち3人

時間に気付いて
「どうする?このまま始発まで飲む?」
とか話してたら1人が
「お店だと金掛かるからウチで飲み直さない?」
と提案してきた

彼の家は野方というところにあって、高円寺からは歩いて30分くらいのところである

季節はたしか初夏、夜はそんなに暑くない時期だったと思う

けっこう飲んだし夜道を歩くのも気持ち良さそうだな、とそうする事に

そうして俺たちは店を出た野方方向に向かった

道中何を話したかはまったく覚えていないが、まぁおそらく若者らしい会話をしながら歩くこと20分くらい

野方の彼の家もだいぶ近づいてきたあたりで微妙に腹が減ってきた

酒飲んだ後に炭水化物が欲しくなる例のアレだ

家着く前にどっか食えるとこあったら入ろうかーみたいな感じになってさらに歩くこと数分、とある交差点の角にラーメン屋の灯りを見つける

おぉ、ラーメン良いじゃん!
と微妙にテンションが上がった俺たちはそのままそのラーメン屋に入ることにした


ここからが本題

先に言っとくけど、このお店を悪く言う気はマジで無い

そして一応Googleマップで調べた感じ、もうお店は無くなってた

今から書くのはただただ俺の記憶にある出来事です

20年以上前で酒も飲んでたから細部は間違ってるかも知れないけど、大筋はそんなに違わないはず


さて、意気揚々とラーメン屋に入った若者3人

店内は特に広くも狭くも無く、それなりに歴史を感じさせる風合いの4人掛けテーブルが3つか4つ

それにカウンターもあったのだが、カウンターの上は雑誌やら新聞やらが積まれていて使えなくなっている

カウンター奥には調理場があり、そこに店主と思われる女性がいた

女性はわりとご高齢な感じで、こんな夜中まで仕事してて凄いなと思ったことを覚えている

そして俺たち以外にお客さんが1人
派手目の柄シャツを着たおじさんが瓶ビールを飲みながら焼きそばを食べていた

「まだ入れますか?」
と店主の女性に聞いたら、手で空いてるテーブルにどうぞとしてくれたので席に着く

席に着いて改めて店内を見渡してみると、ある違和感に気付く

入口からパッと見た時には気付かなかったのだが、なんか店内のいたるところにめっちゃ猫がいるのだ

カウンターの端っことか、テーブルの陰とか

たぶんそんなに広くはない店内に7〜8匹の猫が寝ている

瓶ビールを持ってきてくれた店主に
「猫いっぱい居ますね」
と言ったら、無言で微笑んでくるだけで特に返答は無かった

なんか変わった雰囲気の人だなと思いつつ、俺たち3人ともわりと猫が好きだったのでそんなに気にせず静かに乾杯

余談だがこれの10年後くらいに俺の猫アレルギーが発覚する

まぁそれはいい

俺たちはビールを飲みながら何食う?とか話していた

すると焼きそば食べてるおじさんが急に

「ここのラーメン食ったら死ぬよ」

と言ってきたのである

ん?
俺たちに言ってる?

おじさんの方を見ると完全にこちらを見ている

「えっ、食ったら死ぬんすか?ここのラーメン」

と聞き返すと

「うん、死ぬよ」

とニヤニヤしながら言ってくる

普通なら引きそうな発言だが、俺たちもそこそこの酔っ払い
なんか面白くなってしまい

「おじさんも食ってるじゃないすか 笑」

と言うと

「いや、これ焼きそばだから」

と返される

「焼きそばは大丈夫なんすか?」

「うん、焼きそばは平気」

焼きそばは平気らしい


ふとカウンターの中に居る店主の方を見てみるとこの会話を聞いてる感じだったので

「ここのラーメン食べたら死ぬんですか?」

と聞いたら無言でニッコリ微笑まれた

意味が分からない

意味は分からないがなんか面白い


再びおじさんの方を向いて、メニューを見ながら色々と聞いてみる

「ラーメンは死ぬんすね、じゃあチャーシューメンはどうなんすか?」

「死ぬよ」

チャーシューメンもダメらしい


「じゃあラーメン大盛りは?」

「超死ぬ」

麺の量に比例するのか…?


「冷やし中華は?」

「あー、死ぬ…かな…?」

麺の量じゃ無いようだ
てかそういやおじさん焼きそば食ってるわ


「ちなみに餃子は?」

「餃子は大丈夫」

という訳でとりあえず餃子を頼む


しかし餃子を頼んでみたものの、やはりラーメンも食べたい
ここ、ラーメン屋だし

なのでおじさんに

「ラーメン頼んでもいいすかね?どうしても食べたいんですよね」

と言ったら

「好きにしなよ、死ぬけど」

と返された


まぁ正直冗談好きのおじさんなんだろなと思ってたし、きっと常連さんで店主の女性もその辺分かってて何も言わないんだろなと判断した俺たちはチャーシューメンと、微妙に疑問系だった冷やし中華を注文して3人でシェアする事に

注文を聞いた女性店主はさっそくラーメンを作り始め、おじさんは笑いながら

「あーあ、死んじゃうなぁ、まだ若いのに」

とか言ってた

「もしかして死ぬほど美味いとかですか?」

なんておじさんと話してたら、ふとある壁の一部の様子が変な事に気付く

俺たちの入った入口は歩いてきた道に面していて、その変な壁はその道と交差してる細めの道のほうに面している

どうもその壁にも入口っぽいガラスの引き戸があるんだが、その引き戸をベニヤ板で覆ってガムテープで止めてあるのだ

けっこう乱雑な止め方と言うか、雑な感じでガムテープが貼られてるので隙間からガラス戸が見えていて、その一角だけ少し空気が違う

なんか慌てて塞ぎました、みたいな感じというか

「なんかあそこ激しいな」

みたいな事を2人に伝えると、2人もそちらを見て

「確かに、なんだろね?」

みたいな反応だった


そんなベニヤ板で覆われたガラス戸を見ている俺たちを見たおじさんが会話の内容を察したらしく

「あー、あれ気になるよな
元々そっちが入口だったんだけどよ、色々と不幸な事が続いたからそっちは潰して新しくこっちに入口作ったんだよ」

と言いながら俺たちが入ってきた入口のほうを指す

やたらと事情通なおじさん

「へー、そうなんすねー」

と返事をしたがこのくらいから俺は若干引いていた


そんな話をしてる内にチャーシューメンと冷やし中華が運ばれてくる

若干引いてはいるが、まぁ食ったら死ぬラーメンはないだろ
てかそんなもんあったら食品衛生管理違反とかの次元じゃない
そう思って普通に食ってみる

美味い

美味いぞ

なんて言うか昔ながらの美味しい醤油ラーメンだ

「え、普通に美味いじゃないですか」

店主にそう伝えると無言でニコニコしている


その時だ

ジリリリリリ!

突然店内に電話の音が鳴り響いた

正直ビクッとした

音の出所を探すとカウンターの端っこに黒電話がある

これぞ黒電話!って感じの黒電話だ

あれは中々音がでかい

そのでかい黒電話の音に驚いたのか、店の至るところで寝ていた猫たちがニャーニャー鳴きながら起きて歩き始めた


女性店主は電話に出ようとしない

「出ないんですか?」

って聞いたらやはり返事は無く、ニッコリと微笑んでくる

そしておじさんのほうを見るとニヤニヤしながらこっちを見ていた


こちらを見ながらニヤニヤ顔のおじさん

ニッコリ微笑みながらこちらを見ているご高齢の女性店主

ニャーニャー鳴きながら店の中を歩き回る猫たち

そして鳴り響く黒電話の音

酔っ払って余裕かましてる俺だったが、あの時間はマジでけっこう怖かった


無言で顔を見合わせる若者3人

そうこうしてるうちに電話が鳴り止んだ

俺たちはとりあえず速攻で頼んだ物を食べて店を出た

そしてまだ生きている


以上です

最初に書いた通り特にオチが無い

ちなみに店を出た後はコンビニで酒を買って野方のメンバーの家に行き、飲みながらさっきの店はなんだったんだろう会議をし、今度明るい時間に行ってみようということになった

でも結局あの店にはあれから1度も行ってない

なぜならわりとこの後すぐにそのバンドが色々あって解散する事になってしまい、野方に行く機会がめっきり無くなったからだ

あれは
「食ったら死ぬラーメン」
ではなく
「食ったらバンドが解散するラーメン」
だったのかもしれない

そしてやはりあれはおじさんのイタズラと言うか、実は閉店時間が近くて俺たちが長居しないようにご高齢の店主を気遣ってやった説が濃厚だ

電話もあのおじさんが隠し持ってた携帯からタイミングを見て掛けたんだろう

きっとそうだ

そうであってくれ

じゃないと意味が分からなさ過ぎる


ちなみにこの時一緒にラーメンを食べた2人とはバンド解散後は疎遠になってしまっていたのだが、1人がこないだ突然上上Brothersのライブに来てくれて再会した

最近このブログで告知しているワンマンにも来てくれそうなので、その時にこのラーメン屋の記憶をすり合わせてみようと思う

今度のワンマン、何気にそれも楽しみだ


そんな訳で!

あと3日!

上上Brothersワンマンです!

はいどーん!


こちらから予約も出来ます
joujoubrothers@gmail.com

良かったら遊びに来て下さいませー!

ではまた!