✏️人名・店名・団体名 その他の 固有名詞・は 全て 架空のものです🙇‍♀️


『何なんだよ💢この暑さ これも“新しい日常”なのかよ?』


容赦なく奏を太陽が追いかけてくる
目指すは“カフェKOKORO”

因みに太陽が照りつけているのは奏の頭上ではなく 愛車の屋根なのだから イライラ度合いは かなり高い様だ
『黒にするんじゃなかった…』今更 愛車の色にモンクを云う始末
最近の奏は全ての事に苛立ち ココロの置き場を見失っていた
その事に 誰よりも気が付いていたのは奏 自身に 他ならない
だから こそ …カフェKOKOROを目指していた
奏の精神を安定させてくれる大切な場所なのだ

見慣れた 建物に手が届く所まで来た
奏は駐車場に愛車を滑るように イッパツで停車した

『ゴメン!やっぱ黒いお前でよかったよ!』と呟いた

カフェKOKOROの扉へと続く階段を1段1段丁寧に 確かめながら登った

(^-^ゞ3段なんですけどねw


扉を開くといつもの香りと落ち着く雰囲気に包まれた
奏に とっては“特効薬”心さんの姿を認めた

『心さんに読心術があったら怒るだろうな~“特効薬って何よ💢”ってね!イヤ!笑うな!』

中扉を開く…変わらない
いつもの空間と心さんが在った…
『あっ!心さんは居ただよな』

そしてマスクに顔が隠れ認識しきれない見知らぬ人々が居た
けれど 彼女たちの笑い声と会話は 暖かみと安心感を奏に与えた

いつものカウンター席に何の迷いもなくついた

『いらっしゃい‼️ 何 ? ブツブツ独り言?』

…『俺 何も声出してないよ』もしかしたら やっぱ心さんは読心術を…ヤバいと思うのであった

そんな奏の思いを経ちきる様に
『暑いね☀️😵💦奏の顔も茹で何とかみたい~』奏は心さんの失礼な発言に口を尖らせた

『何とかって何だよ💢暑いよ…ここは涼しいけどね~』

『何 云ってるんだか…奏 あんた自身が熱いんじゃない ?』世界中の苛立ちを全部 背負っている様な顔をしていると心さんは笑う

『歩いて来たの?走って来たの?違うでしょ⁉️愛車 黒ちゃんの中は 涼しいでしょ!』

奏は意義ありという表情で
『心さんは 知らないんだ!直ぐにエアコンは効かないのだょ ここに着いた頃にやっと冷えるんです!特に今の猛暑ではね』勝ち誇る様な奏に…そんなもんなの?と軽くスルー

奏の背後では こんなご時世だとは思えない笑い声と会話(入店時は暖かみと安心感なんて 思ったのは 誰?)が充満していた…

『心さん ヤバいんじゃない💢大声は…』

不思議顔で奏を見つめる心さんは
『大丈夫よ❗️マスク着用だしねKOKOROの換気も空気清浄機も最強よ』

奏は 何故か 心さんの言葉を納得する
オーダーした コーラが目の前に置かれた
グラスの中 沢山の泡が昇り弾ける

『奏も 古い日常は 捨てて 新しい日常とやらに突入って感じなの?』
心さんの言葉と弾けるグラスの泡が重なった

…違う~誰よりも たぶん誰よりも その事に違和感とジレンマを感じてるのは奏なのだ!そして 心さんに思いをぶちまけた

『俺はLIVEがしたいんだ ちゃんと顔が見えるLIVEを~』横に置かれたギターが
奏には泣いている様に感じた
ココロの置き場を見失った奏の悲痛な声は力なかった

大声で笑いおしゃべりを満喫した女子たちは笑顔で帰って行った
心さんはテーブルの上を片付けて換気扇を起動した

『入れ替わるんかな?古い日常が換気扇から出ていて新しい日常入ってくるんかな?』

『流石 シンガーソングライター 奏 云う事が違うね!でも換気扇から新しい日常は 入ってこないんじゃない!吐き出すだけだなぁ~』
奏はそこかよと思いながらも 理解してくれている 心さんに救われた

心さんは店を閉めた

『まだ 時間じゃないよ』『昼の部は終了だよ』何が正しいかはわからない 
ある時間が過ぎたら閉店する 
『時間なんて ない感覚のこの頃』
ホントは1人でもお客様が居たら 定時までオープンが基本 これが新しいカフェKOKOROのシステム…生き残る必殺技だと微笑む心さんは
『でもね!今日は奏と話す日 だから 店は閉めた ワルい?』そして『奏…唄いなさい マスクを外して 思いっきり声を出して…』と奏を見つめる

『ギターが泣いてるよ』

『心さんにもわかる?』
当然と腕を組み頷く心さん


奏は30分 演奏した
その時 目の前の満席の客席に 
あの人 この人の顔を見た
みんなマスクを外していた
沢山の笑顔と拍手が奏を包んだ
礼をして顔を上げた時
心さんが頷きながら大きな拍手を贈ってくれていた
その姿が目にココロにスーッと入り同化した
奏のココロの中に確信の渦が広がった

どうしょうもない やるせなさも混濁とした虚無感も消滅した
それは全てを新しい日常とやらに進む事じゃない
大切なものを無くす前に ここに来てよかった
許されないコトもルールもあるけれど
 変わらないもの 変えてはならないものもある

突然 マイクを通して

『心さん ありがとう』と叫んだ

『ちょっと待ってよ! 大声厳禁 感染したら あんた 看病しなさいよ』と微笑む心さん
その笑顔を見て奏は自分が守りたいものは
自分の笑顔とみんなの笑顔なんだ…
そして自分に出来るコトは沢山の人に歌を贈るコトなんだと…確信した
変化する沢山の現実を受け入れながらも
拒絶も大切だ!全てが正しく 間違えている

心さんはギターを背おう奏の背中を
見送りながら『必ずくるよ❗️マスクも透明な壁も外せる日が…』と呟いた

🎸小説のタイトル&モチーフに
なった“うろら”の楽曲です
是非 聴いて下さい
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よろしくお願いします🙇‍♀️
  


🎸古い日常🎸  

「不要不急の外出は控えてください」って言われてから僕は家でただ歌を作り続けていた
ライブハウスと感染者が悪者扱いされる
世の中になっても 
僕はただライブがしたかった

いつの間にやら諦めと 敗北を認めたように 新しい日常ってやつを騒ぎ立てた

顔がちゃんと見えなくなってあなたに
近寄れなくなった日々が新しいのなら
僕は古いままでいいよ 我慢を続ける

心の距離は近くなったってタレントが言っていたけど
そんな気持ちにはなれなかった 
なんでも前向きに楽しんでそれも大事だろうけど
見えなくなるものもあるんじゃない?

無理に前向きに捉える必要なんてないから 現実を見て向き合うことだって大事だろう

顔がちゃんと見えなくなってあなたに
近寄れなくなった日々が新しいのなら
僕は古いままでいいよ 我慢を続ける

いつかマスクも透明な壁も外してあなたに会えたなら 何をしよう?
こんな願いが切実なものでなくなるように

     🌷ご訪問ありがとうございます🙇‍♀️
        🎸あなたに会えてよかった✏️