good timingなのか?

否か…❓

複雑な心境のルイの感情を他所に…

『いいねぇ~シナリオが あったみたいだね‼』

 こころさんは 妙にテンションが上がっている

『さぁ~さぁ~座って ドアは カギをかけるからね』そう 言うと カウンターに消えた


食器のふれあう音と水の流れる音 そして いつの間にか    消えていた BGMが 再び流れ出す

『紅の豚~時には昔の話しを…だ!』ルイは
何だか 自分でも 理由は わからないが
毎日 顔を会わせている  おばあちゃんとお母さんなのに 気恥ずかしさがあった

こころさんと時間旅行に 出掛けていたからだろうか?
しかも 行き先は 自分の知らない 母の過去!
そんな 感情を隠したく 流れる楽曲のタイトルを口に出したのかも 知れない

それと 同時に 
『お母さんは 私に知られたくなかったかも知れない』と心の中で呟いた

少しの不安と後悔があった

『ルイ‼なんて顔をしてるの?』お母さんの第一声は いつもと 変わらず 優しかった
たった 1夜を越えただけなのに ずいぶん ご無沙汰していた気分に 戸惑っていた

こころさんは ふたりに コーヒーを持って来た
『お腹は空いてない?腹がへっては なんたら
 だからね』と笑う

『大丈夫‼おばあちゃんに 美味しいもの ご馳走に なったから…』お母さんは上機嫌だ
いつものルイならば 『ズルい‼』と拗ねるが
 今はふたりの顔を交互に見比べるのが精一杯だった

『私はカウンターにいるから 何かあったら 言って それとも 2階に行ってる?』

ルイは本気で叫んだ
『嫌です  こころさん 居てください』涙が一筋落ちた

『何…ナニ…  ルイは泣き虫なんだから~』とお母さんが いつもの調子で言った

おばあちゃんは そんなお母さんの肩を叩いた

『ごめん 悪い意味じゃないのよ‼いつも そう…悪い意味で 泣き虫って 言ってるんじゃないのょ』

ルイが自分の名前の事で
悩んでる事も  ここ約2日間の出来事も
おばあちゃんは お母さんに 話していた
そして 看護師時代の話しも おばあちゃんと
 こころさんで 知りうる限り話した事も

            …後は お母さんの口から…



『そんな事…学校でも 言われた…ルイは涙 だから 泣き虫なんだって…』

ルイは 本当は 1番大好きな タケルに言われた事がショックだった  その上 恋敵手の麗子に『今のが泪ですょね』と 冷やかされたのも悲しかった
  麗子と云う お嬢様の様な名前をタケルは好きなんだと 失恋気分で 自分の名前に 絶望した

けれど お母さんの過去を辿った時 その事は 秘密にしたいと思った

おばあちゃんも こころさんも いつの間にか カウンター席に 移動して 雑誌なんか開いて 小さく盛り上がっている

『そうだょね~ルイは涙から 付けたとしか 話して なかったものね』

お母さんは 自分の過去を遡っている様に…
おばあちゃんや こころさんが 話しをしてくれた時の様に 遠くを見つめていた

『ルイ‼涙はキライ?泣き虫って ダメかな?』
予想してなかった問いかけに ルイは 答えを探した

『キライ…では ないかも…けど みんなは馬鹿にして 言ってる様に感じるから キライかも…』

 お母さんは 話しはじめた

『あなたの名前は お父さんと 考え 名付けたのね…愛の時も同じだったわ~』

笑美と誠司は 一連の病院騒動の後  ただ ただ…
愛の事と生まれ来る 子の事を考えて生活した

笑美の泣き虫は 相変わらずだった
ドラマに感動して ニュースのいい話に涙し 辛く悲しい話に涙する

長女 愛は 耳が不自由だったが 障害も ないかの様に 天真爛漫に育ちつつある
そんな姿に涙する
けれど笑美は涙を流した後は とびきりの笑顔になるのだ
そんな彼女を誠司は 大好きだった
毎日毎日 笑美に 恋してた

ある日 医療系の某ドラマを見ていて 医療スタッフの言動に 涙が止めどなく流れた
あまりの嗚咽に 流石の誠司も 心配になった

『笑美?大丈夫か 』

笑美は涙を拭い

『せいちゃん!この子の名前 ルイにしたい
 涙って意味…男の子でも 女の子でも ルイ‼ 星野 ルイ』
笑美は  誠司が反対するとは微塵も考えていない
人の悲しみも 喜びも 自分の事の様に感じる事ができる人に なって欲しい


笑顔が いいに 決まっている
笑って…笑って…
心から笑えるのは その前に涙があるから…

『だから ルイ‼あなたは泣いても 次の瞬間 素敵な笑顔に なるよね』

時に 涙が邪魔をするかも知れない 
けれど 笑美は笑う為に 泣くことは大切だと
思っている
みんな 誰しも 泣きたいのに色々な事情で 泣くのを我慢する
そのうち 泣くことを自動的に忘れる

男のくせに とか

大人なのに  とか…

看護師  なのに  とか

親なのに  とか…

『 お母さんはね 泣いても いいよ っておもうんだ  でもね  それを全部 理解してくれるはずもない社会  だから泣けなくなるかも 知れない
でも その気持ちは胸にずっと持ち続けていられる人に なって欲しい   涙は素敵だから…』

そんな思いから命名したのだ

『おばあちゃんやこころさんから聞いたよね?』

ずっと 神妙に聞いていたルイ‼

『看護師さんの時の話し❓』

   お母さんは 頷いた

『峰夫さんがね 手紙の中に人生最初の親が子に贈るプレゼントは 名前だって書いてあったのね』お母さんの目にも 涙がキラリ と光った
ルイは その涙がキレイだと感じた

名前を付ける時には 例え
本人が嫌な名前だと思っても 沢山の思いが込められている事をルイに 話した

そして必ず 好きになり
自分の名前に誇りを持つ日が訪れる

言葉には 出来なかったがルイは大きく 頷いた

お母さんはルイの涙を拭い

『さぁ~帰ろうか 明日は学校だよ‼』

その言葉に ルイは正直 少し憂鬱になった
けれど 明日まで 忘れる事にした

~♪時には 昔の話しをしょうか  通いなれた なみじみのあの店~♪゛紅の豚~時には昔の話しを~参照゛

会計は『ゼロ円で~す  是非とも次回は営業日に お越し下さい』と こころさんは 笑って レジをチンっと閉めた

その夜ルイは夢を見た     涙がツーっと流れた

その寝顔を見た 誠司と笑美

『暫くは このままで いいんだょね』と話した


翌朝     校門の前で…

タケルと麗子が   ルイを待ち構えていた…

                                                        つづく🙇✏


             📖ご訪問ありがとうございます🙇

                  🌷あなたに会えてよかった🎸