クマS’バイクが、修理から戻ってきたので、試運転を兼ねて、一緒にぶらぶら走る。行く宛もないので、適当に走り、着いた先が明かりもない海辺の貯木場。真っ暗闇だから、海に落ちてもわかんない。わけないか。
バイクから降りたクマと堤防の眼下に拡がる貯木場の海面を覗いて見ると、そこには、小さくおぼろげに光る怪しげな光の群れ、群れ、群れ。あれは一体なんだ?それは、ただいま発光中の夜光虫の群れ。
見ていると段々、光の強さが小さくなっていくように見えた。
こんなときは、たしか、刺激を与えれば反応して、また光だすはず。と思い出し、周囲の小さな小石を拾い、投げ入れてみる。ポチャン!すると確かに反応が。投げた小石が水面に起こした波紋に反応したのか、サーッと順番に波が拡がるように夜光虫が光っては消えていく。その光っている場所は、細長い楕円の様に見え、その中だけ、丸い点がいくつも、いくつも光っていた。
「おーっ!」と歓声をあげる、おとなげない大人二人。
もっともっと、見たくて二人は懐中電灯を取り出し周囲から小石集めを始めるたが、握りこぶしほどの石もなく、ほんとに砂利程度の小さな小石しか見つける事が出来なかった。すぐそばが公園のようになっているのだが、綺麗に清掃されすぎて小指の先の大きさにもならぬ、わずかな小石しか集まらないのだ。
小石を投げ入れても、その小さな反応しか見れない事に、このおとなげない大人たちはいらだちを覚えた。
「こんな時、あの二人のうちどちらかがいれば」と悪魔のささやきにも似た言葉がふと口からもれる。人が夜光虫のいる海面に落ちたら、どんな風に光るんだろ?人型に光って、その光が拡がるのだろうか?いやいや、小石ですら、あの反応。きっと、もっと光るに違いない!
某局の「科学くん」みたいに実験をしたい!の心境である。結果がみたい!
が、そんな事を見ることもかなわず、帰ることにする。
この日はこれで終わり。
しばらく夜光虫が、存在するこの時期は、誰もクマのところやこちらに馬鹿な真似や騒ぎは起こさない方がいいだろう。だって、我々が見たがっていたのは、夜光虫のいる海に人を落としての反応実験だからね。我々に、身体を張って見せてくれる結果になること、間違いない。