年末で賑わう繁華街。
新宿の雑居ビルにある居酒屋。窓の外は小雨が降っている。
カウンターに座るふたり組の男。ひとりの男が注文したキムチを美味そうに
ばくばくと食べながら隣りに座る友人に向かって韓国政府の批判を次から次へと
口にしている。どこかこっけいな風景だ。
いや、厳密にいえばこの男は現実社会では存在しない。
というか、いたとしてもオレは見たことがない。
では、その男はどこにいたのかといえば、オレが書いた小説の中の
世界の新宿の居酒屋にいるのである。
そう、それは自分を映した鏡のように投影させたキャラクターである。
オレはネトウヨじゃないので、日本に住んでいるすべての中国人や韓国人
の人たちをひとくくりにして悪くいったり、ののしることは決してしないが、
それでも何度も書いているように、政治として、また国としての中国、韓国は
好きとはいえない。
日本の領土を自分たちの国の領土だというわ、決着したはずの話を蒸し返すわ……
だからオレも居酒屋とかで外交の話題になったときとかは、ついつい辛口に
なってしまうフシがあるのだが、アツくなりながらも客観的に
「でもオレ、韓国のキムチや焼肉とか、中華料理の麻婆豆腐とか大好きだよなァ」
と寺門……、いや、自問自答してしまうことの繰り返しである。
そんな自分自身を揶揄したように表わしたのが冒頭に書いたキムチを喰いながら
韓国政府批判をする男である。
そういうとき、思いだして自分にいい聞かせるのがドイツのビスマルクのエピソードだ。
昔、ビスマルクが敵国であるフランスのワインを愛飲していた。
それを快く思わなく疑問に思っていた皇帝が、ビスマルクにむかって、
「どうして自国のワインを飲まず、敵国のワインを飲むのだ?」
と問いかけたところ、ビスマルクは
「恐れながら陛下、愛国心と舌は別物でございます」
と答えたという。
……
うむ。いい論だ(笑)
食も文化のひとつ。ナショナリズムとは隔てて考えたほうがいい。
現地の中国人だって、日本製のカメラもって、反日デモの様子を撮影してたりする
こっけいさがあるわけで、日本人も中華料理やキムチが好きな人は多いから、
ムンジェンイン大統領とキムチはわけて考えていいし、尖閣諸島問題と中華料理は
わけて考えてもいいだろう。
そういうわけで中華料理の話。
一か月ほど前になるが地元の中華料理屋に家族でいってきた。
『中華食酒館 萬福記』
東京都府中市寿町1ー3-10
詳しくはココ
現地で国旗を燃やしている人たちはともかく、日本で飲食店やっている
中国の人たちは愛想がいい人が多い。
こちらの店員さんも感じよかった。
ランチでいったのだが、メニューはたくさんあり、しかも安い。
迷ったが、マーボ丼にした。 たしか650円。
美味い。
四川風ならばもっと辛かったんだろうけど、これはそこまで辛くない。
この町中華以上、高級中華料理店未満という間のポジションがちょうどいい。
この手の中華料理店好きだ。
とくに麻婆豆腐が美味い店はいい。
こちらの店はまた行きたいと思う。
ちなみにここに訪問した1週間後の日曜は友人の仕事の手伝いバイトで西巣鴨
のほうまでいったのだが、そこでも現地の中華料理屋(店名は忘れた)で、定食を
ご馳走になった。
餃子定食。
日本食が美味いのはもちろんだがやっぱり中華料理も美味い。
萬福記さん、ごちそうさまでした。
これからもひとつの文化、情報として、余裕があれば中華料理屋を開拓してゆきたいと思う。