オルゴール | 昭和80年代クロニクル

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古き良き昭和が続いてれば現在(ブログ開始当時)80年代。昭和テイストが地味に放つサブカル、ラーメン、温泉、事件その他日々の出来事を綴るE級ジャーナルブログ。表現ミリシアの厭世エンタ-テイメント少数派主義ロスジェネ随筆集。

※ネタバレあり

 

 

記事でこれまでいくつかの映画をとりあげてきたけれど、鑑賞記録と

して書いたり、ふと懐かしいと思いだしたりして書いたというのが多く

決してすべてがおススメというわけではない。

 

じゃあ、「あなたが一番おススメする日本映画は何?」と訊かれたら

なんと答えようか、と考える。実は悩む。

 

高倉健がでていた「南極物語」は何度も泣いて感動したが、ちょっと

ベタである。

そしてオレは寅さんシリーズは観ていない。

 

うーん、なんだろ。一番のおススメは??

 

あとになって「あ!アレのほうがもっとおススメだった!」というのがでてくる

可能性もあるということを先に断わったうえで、今パッと頭に浮かぶ映画を

ひとつあげると、長渕剛初主演の映画「オルゴール」かもしれない。

 

ドラマ「とんぼ」の世界観をそのまま継承させた一匹狼ヤクザ映画であり

親子愛映画でもある。

 

中学のとき、男子はみんな長渕好きだったから、これ7、8人でぞろぞろと

新宿の映画館に観にいった。

 

 

 

 

――

白昼の銀座で神崎勇治を襲った阿南連合の鉄砲玉・瀬川は逆に追いつめられて、

子供連れの若い母親を刺した。

勇治はかつて阿南連合に入っていたが今は一匹狼。兄貴分だった阿南勝成も今は

勇治を目の敵にしている。

勇治は服役中に生まれた顔も知らない一人息子・蓮のことが気がかりだったが

早苗とはすでに離婚しており、また生涯子供には会わないことが条件になっていた。

勇治の妹・きよは舎弟の翔と愛し合っており、結婚も約束していた。

そして気難しく一徹な勇治にとって二人だけがよき理解者であった。

しかし、勇治はある日阿南から蓮の写真を見せられて荒れ始める。

きよはそんな兄を見かねて蓮に会わせたのだった。勇治は蓮をジープでドライブに

連れていき、父子水入らずの楽しい時間を送った。

阿南の勇治に対する嫌がらせはエスカレートし、きよと翔が連れ去られた。

翔は阿南連合の組員たちになぶり殺しにされ、それを目の当たりにしたきよも記憶を

失ってしまう。

(映画・comの一部より引用)

 

映画は冒頭とラストが大切である。

ラストはいうまでもないが、冒頭からダラダラと退屈で静かな映像の流れを持ってくると

観客がついてこない。

だからインディ・ジョーンズなども冒頭から派手なアドベンチャーやアクションではじまる。

 

この「オルゴール」も冒頭から退屈しないハラハラドキドキである。

 

中村ゆうじ演じるピアスの鉄砲玉(ヒットマン)・瀬川が、路地裏で建物からでてきた勇治を

刃物で襲う。だが、逆に勇治に追いつめらて逃げる。逃げでたところは白昼、多くの人で

賑わう銀座の大通り。

 

そこで瀬川は小さな子を乗せた乳母車の母親を人質にとり、母親を刺殺してしまう。

 

それを観た勇治は怒り、瀬川のもとに走ってゆくが、そのとき乾いた銃声がパーン!と

響き、大衆の目の前で瀬川の額に穴が開き、血が飛び散る。崩れ落ちる瀬川。

勇治を始末する任務に失敗したため、阿南連合から消されたのである。

そして勇治はその場から立ち去る。

 

銀座の大通りで大胆なロケをやっているだけあり、これはかなりセンセーショナルな

オープニングだった。

観始めたばかりからテンションがあがり血が沸騰するほど面白かった。

この時点で、ああ、この映画を観にきて正解だった、と思った。

 

これはオレごときの説明力じゃ全然伝わらないと思うので、まだ観てない人は是非観て

ほしい。

 

そして、なんといってもラスト。

 

阿南連合の阿南勝成に舎弟の翔を殺され、妹までおかしくされた勇治は

阿南勝成を殺しにゆく。

 

阿南勝成は知人の結婚式に参加していて、ちょうどスピーチを頼まれて

前にでていたそのときだった。

 

会場のうしろのドアが開き、日本刀をもった勇治が「阿南勝成はどこだ!」

といい乱入。騒然とする会場。

たくさんの料理がのった式場客の長いテーブルの上にのり、料理を蹴散らしながら

ドカドカとテーブルの上を歩いてゆき、阿南勝成のところに向かう勇治。

パニックになる結婚式会場。会場から逃げる阿南勝成。

追いかけた勇治は阿南をトイレに追い込み、そこで斬り殺す。

 

結婚式上に乗り込んで暴れるというこの演出。

当時、というか今観てもセンセーショナルで興奮すると思う。

オレの性根が腐っているのかわからないが、結婚式場というおめでたい

場をめちゃくちゃにするという演出がなんか観ていて爽快だった(笑)

 

ヤクザ映画としてまさに冒頭とラストの派手さがよく出来ている。

 

もちろん、バイオレンスだけでなく、会うことを禁止されていた息子・蓮との

親子愛もしっかり描かれてるので、そこは観てて温かい気持ちになる。

監督は長渕とドラマでよくコンビを組んだ脚本家でもある黒土三男なのだが

監督がこの作品で一番表現したかったのは人間らしさと家族愛ではない

だろうか。

 

世の中には長渕剛が好きな人と、嫌いな人との2種類がいると思う。

 

でも嫌いは人はきっと、外見とか歌い方とかで印象を決めてて、本当は

長渕のことをよくしらないんじゃないかなと思う。

 

この「オルゴール」は長渕好きじゃない人でもヤクザ映画好きじゃない人でも

面白いと思う映画だと思う。

主題歌の「激愛」もよかった。

改めてウィキペディアを見たら、寺島進がでていたのはしっているけど、まだ

売れる前の遠藤憲一もでていたようだ。

トータルでおススメの1作である。

 

 

※この記事はタイマー更新です。