深堀隆介展 「金魚鉢、地球鉢。」 | 昭和80年代クロニクル

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古き良き昭和が続いてれば現在(ブログ開始当時)80年代。昭和テイストが地味に放つサブカル、ラーメン、温泉、事件その他日々の出来事を綴るE級ジャーナルブログ。表現ミリシアの厭世エンタ-テイメント少数派主義ロスジェネ随筆集。

ずっと小さいころ、金魚は天然でどこかの池とかに生息しているものだと

思っていた。

まだそのころは生物が観賞用に品種改良されるという概念がなかったし、

金魚なんて夜店の金魚すくいくらいでしか見たことがなかったからそんなもんである。

 

上野の森美術館で金魚にかんする面白そうな企画がやっていたのでいってみた。

 

深堀隆介展『金魚鉢、地球鉢。』

サイトはココ

 

 

パンフをみると、絵画の概念を覆す圧倒的な立体感とある。

なんでも2・5Dペインティングと呼ばれているようだ。

 

確認できたかぎり、3か所の撮影可スポットがあったのでそれらの画像とともに

紹介。

下は最初の撮影可作品。

 

序盤は金魚の絵がある。

 

 

枡のなかに見えるのは本物の金魚ではない。

フィギュアでもない。

絵である。

この躍動感というかリアルさはすごい。

 

 

パンフより作成方法を引用すると

 

①枡に樹脂を薄く流し込み、固める

②樹脂が固まったら、アクリル絵の具で金魚の体をすこしずつ描く

③さらに樹脂を流し込み、固まったら次の層に描く

④これを何層にも繰り返す作業を行うと、まるで本物のようなリアルな

 金魚絵が完成

 

立体的に見えるのはつまり薄い絵の連続面なのである。

まさに根気と執念の作業。これはすごい。

 

 

 

撮影はできなかったけれど、一枚目の画像の看板の左側にもちょっと映っている「方舟」

という作品がよかった。

机?の引き出しをあけたところに樹脂があって、そこにおなじようにたくさんの金魚が泳いでいる。

 

他にもタライの中や、開いて逆さにされた傘の中にある水の中で泳ぐたくさんの金魚の作品が

あった。これだけの金魚を描くのにどれだけの時間がかかったのかと創造すると頭がさがる。

 

リアルなのは金魚だけでなく、水中に漂う金魚の糞(線状)までしっかりと描かれているところだ。

 

あと画像がないのが残念だが、個人的にとても好きだったのは、横に潰れてぺったんこに

なったビール缶やサイダー缶の表面に樹脂をほどこしそこに金魚が描かれた作品だった。

 

キャンパスとなった潰れた空き缶は作者の人が街なかで拾ったただのゴミである。

だからリアルに汚れている。

それをアートにしてしまう技量。

オレの説明じゃたぶん伝わらないのが実に残念だ。

興味ある方は是非実際に見にいってもらいたい。

 

ブログみたいに文章を書くことを含めて、なにか創作するとき、「ネタがない」「なにを書いていいか

わからない」という人は多いけれど、探そうと思えばそこらへんにあるなんでもテーマにできるのだ

というようにいわれているようにも感じた。

 

最期の撮影スポットでもある部屋には屋台が設置。

 

 

どこかのスタルジー。

ジッタリン・ジンの曲が聴こえてきそうだ。

子供のころにいった地元の文化センターの夏祭りや、大國魂神社の縁日を思いだす。

金魚すくい、何回やっても紙が破けたものだ。

 

 

 

リアルな金魚だけではなく、ポップな金魚もたくさんいた。

 

 

展示はこれでおしまい。

 

なかなか面白い企画だった。

オレのような芸術に疎い人間でもなかなか退屈しない。

ただ、上野の森美術館自体の規模があまり広くないこともあり、比較的じっくり観て回った

つもりだけど、所要時間は20分くらいだった。

できれば、もっともっと観たいと思った。

 

興味ある人は是非足を運んでいただきたい。