パソコン、なんとか立ち上がってネットつながった。
政治色が濃いテーマだったからこれまであえて書かなかったが
アメリカ大統領選について、ちょっとだけ。
記事全体において、相手を敬わない一方的な主張、嘲笑、
および自分あるいは読者様が不快になるようなコメントはご遠慮お願いする。
絡んでくる輩がいそうだからというのが書かなかった理由のひとつ。
もうひとつは、純粋にどちらが選ばれても‘複雑’だったから。
完全に無理な注文だとわかっていながら極端にいえば
「トランプ並みかそれ以上に中国にたいする強い姿勢を持っているバイデン」
というのが理想の大統領だった。
トランプはまったく好きじゃないが、たったひとつだけ支持できる部分が
あるとすれば、それは中国にたいして強気であり、いろんなことで
強行できること。
一方で決して聖人だとはいえないが人間性でいえば比較的バイデンの
ほうを支持。
だがバイデンは親中派とされる。そこだけが引っかかる。
だからトランプの対中姿勢を持っているバイデンというのが、ドラクエの職業で
いうところの賢者のように理想な大統領像だったのだが、やはりそうなかなか
うまくゆかないものである。
すべての思想が自分と一致する政党も政治家も存在しない。
7割方は共感できる政策だが、残り3割は激しいアレルギーをおこすような政策など
のケースなどざらにある。
自○党を批判しているから左だとも限らなければ、共○党を批判しているから右
だとも限らない。
しかし人はどうしても自分や自分の支持する政党を基軸にして、他の人を右か左か
に仕分けしたがる傾向があるのである。
オレは多少政策寄りにはなっても政党寄りにはなりたくないから、特別に支持する
政党もなく、選挙のときに決まって迷ってしまう。
ただ、右だろうが左だろうが、どこの政党を支持していようが、本当に日本が
好きなのであれば、同じこの地に住む日本人を下品に口撃したりなどしない。
オレも自分との思想を異なる人を基本勝手に仕分けしたりしない。
もちろん、本人自身が右や左を自ら名乗っているならば話は別だが。
日本というよりも、政党寄りになったり右左に固執することがもっとも盲目に
なりやすいと分析する。
ゴリゴリの右翼扱いされたあの三島由紀夫でも「愛国」という言葉が嫌い
だといっていた。それもそこに所以するだろう。
右も左も一度ハマってしまったら、日本の心配よりも自分の信念にもうどっぷり
浸かってしまう人は多い。
そして、もともと極右だった人ほど方向転換で極左になりやすいし、
同じく極左だった人ほど極右になりやすい傾向がある。
どうしてもリベラルは通過してしまうようだ。
極左だった人は極左の中の嫌な部分を、極右だった人は極右の中の嫌な部分を
互いにこれでもかというほど見てきた部分もあるため、方向転換する際は
極端に正反対のほうへいってしまうのだろう。
果たしてこの人は今でも保守か、リベラルか、それとも革新か?
古谷経衡。
前にも個人について記事で書いたが、小説の「愛国商売」を昨年読んでみた。
――
南部照一は、孤独な自営業者だった。茨城県取手市在住。猫と車を愛する27歳の平坦な人生は、
保守系言論人の勉強会に参加したことで狂っていく。警備会社「シュトケイ」の懸賞論文に応募し、入選。
一躍、保守論壇の新星に祭り上げられ、右派系テレビ局「よもぎチャンネル」レギュラー出演者への道が
拓けていった。
順風満帆に見えたが、彼が足を踏み入れたのは野心と嫉妬が渦巻き、裏切りが横行する下劣な世界
だった。論客同士のパイの奪い合いから思わぬ事件も発生する―。
保守論壇からデビューした著者の実体験を基にした小説。
(amazonから引用)
概要は上にあるとおり。
文庫化にあたり改題したようだが、原題は「愛国奴(あいこくど)」らしい。
古谷氏自身、もともと保守の出身だけにそこで経験したことを小説にした半自伝的
な小説だと思う。
とりあえず極右が嫌になったことは伝わってくるが、どこまで本当にあったことなのかが
わからない。
流れもそうだが、とりあえず登場人物や組織が多すぎてオレにようにオツムが
弱い人間は混乱してしまう。
おそらく古谷氏なりに、当時自分がいろんな方面に多くの人脈を持っていた
ことをアピールしたくてそういう構成にしたのだと思う。
それとレビューにもあるが、主人公と人妻とのやりとりはいらない気がする。
小説だけに色気も多少練り込んどこうという考えだとは思うけれども。
登場する組織にはだいたい元ネタとなるモデルがいるため、そういう部分を
ふまえれば右派の人も左派の人も楽しめる作品かもしれない。
右派代表に「経産新聞」、左派代表に「朝陽新聞」という新聞社が登場するが
これはもう読んでお察しのとおりの元ネタである。
このふたつはさすがにすぐにわかったが、「よもぎチャンネル」というのは
最後までわからなかった。
もちろんネットで調べればすぐわかるのだろうけれど、別にそこまでの
興味はなかったし、元ネタ自体を聞いてもわからなそうだったので。
正直いろんな登場団体がいて複雑な相関図になっていることもあり
物語全体の流れがよくわからなかった。
全体の流れよりもところどころに散りばめられた古谷氏がいいたかったので
あろう文章のほうを拾って、うなったり、共鳴したりする作品という感覚。
たとえばネトウヨについては下のように主人公に分析させている。
――
彼らは自分たちが外部から「ネット右翼」と呼ばれることに対して極端な
嫌悪感を示す。
一方、明らかに自分たちの主張が政治的右派や差別主義に偏っている
にもかかわらず、中立、中道を標榜していた。
(本文より引用)
これは頷ける。
たしかにいうとおり。
ときどきでてくる経験者だからこその描写は参考になった。
今回のもう1冊
西村賢太『瓦礫の死角』
無頼派で書く作品のほとんどが私小説である西村氏。
芥川賞受賞会見時の様子でもわかるように、彼はなんでも
話す。
父親が性犯罪で逮捕されたことは西村氏本人からの話でしられている。
その事件を土台として描かれたのが本作である。
※この記事はタイマー更新です。