ルージュの伝言 | 昭和80年代クロニクル

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古き良き昭和が続いてれば現在(ブログ開始当時)80年代。昭和テイストが地味に放つサブカル、ラーメン、温泉、事件その他日々の出来事を綴るE級ジャーナルブログ。表現ミリシアの厭世エンタ-テイメント少数派主義ロスジェネ随筆集。

 

 

前回の記事でウルフルズの「ガッツだぜ!!」についてちょっと書いた。

ノリとサビでインパクトを与えて、細かい歌詞は意図して気にさせないように

したんじゃないかと。

その流れをふまえて今回もうひとつ音楽ネタ。

 

先日、某ラジオを番組を聴いていたら、歌詞の内容をよく理解せずに

曲のノリだけで聴いてきた歌がけっこうあるというようなリスナーの声を

紹介していた。

そこで話題とされていた例が松任谷由実(荒井由実)の名曲、

『ルージュの伝言』である。

 

オレは小学校のころ、アイドルとか音楽とかにまったく興味なかったので

音楽シーンに興味を持った周期が人より遅れていることは前にも書いたと

思う。セックス・ピストルズにハマったのも25歳のときだし。

 

なので荒井由実の「ルージュの伝言」という曲の存在をしったのも

聴いたのも中学生になって「魔女の宅急便」を観たときである。

 

基本、音楽は曲よりも歌詞先行派なのだが、これだけ数多の曲が

世に存在するわけだから、中にはウルフルズのようにオレの中でノリ先行となる曲も

いくつかは存在するわけである。

 

「ルージュの伝言」もオレの中ではノリ先行だった。

テンポもユーミンの口調もとても明るくポップな感じなので、とくにまともに

歌詞やそのストーリーを捉えることもなく、「ああ、これは明るく陽気な歌なんだな」と。

 

だけど、そのラジオ番組でパーソナリティのタレントさんたちが追求していたが

この曲、メロディや歌い方は明るくポップだけどストーリーは実はエグかったのだ。

今までさらっと聴き流してきたけれど。

 

まず冒頭

 

あのひとの ママに会うために

 今ひとり 列車に乗ったの

とある。

 

‘あのひと’に会うためにではない。‘あのひとのママ’に会うために主人公は

列車で遠くまで出かけているわけである。

もうこの時点で通常のラブソングではないことに気づかなければならない。

 

そして途中

 

あのひとは もう気づくころよ  バスルームにルージュの伝言

  浮気な恋をはやくあきらめない限り 家には帰らない

 

ラスト

 

明日の朝 ママから電話で

  叱ってもらうわ マイダーリン!!

 

とくる。

 

つまりこれは主人公の彼氏だか旦那かだかが浮気をしているということである。

 

だが主人公の女性は彼氏(旦那)にたいして直接責めるのではなく、わざわざ電車に乗って

街からはるか遠くの義理の母親の家までゆき、母親に

「おい!あんたンとこの息子は浮気してるぞ!」

と報告しにいっていることを歌った歌なのである。

しかもその旨をバスルームにルージュで書いて……。

 

しかもバスルームにルージュで伝言を書いたとは歌っているが、なんと書いたか

は歌っていないから不明なのだ。

 

ソフトに遠回し的なことを書いたかもしれない。

だけれど、もしかしたら背筋がゾゾゾとなるようなことが走り書きされていたかも

しれないのだ。

明るい曲調だからといって、決して丁寧な言葉が書かれていたとは限らないのだ。

 

そういうストーリーだと考えて男性目線で見ると、とてもポップで弾んでいるメロディと

ユーミンの陽気な歌い方は逆にちょっとホラー的にも思えてくる(笑)

 

音楽って、聴く専門の素人からすると、どうしても歌詞か曲かのどちらかが先行して

入ってきてしまう。

 

別に曲調が明るいから明るい内容の歌だとも限らないし、逆に暗い曲調だからと

いって歌詞まで暗いとは限らない。

 

重い歌詞でも明るいメロディで違和感なく聴かせられたり、軽い内容でも

重い口調で違和感なく聴かせられる人たちこそがプロなのかなあとも感じる。