アキラ100% | 昭和80年代クロニクル

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古き良き昭和が続いてれば現在(ブログ開始当時)80年代。昭和テイストが地味に放つサブカル、ラーメン、温泉、事件その他日々の出来事を綴るE級ジャーナルブログ。表現ミリシアの厭世エンタ-テイメント少数派主義ロスジェネ随筆集。

 

かなり前も[お笑い論]として書いたと思うが、プロの世界だけでなく素人の宴会芸でも

裸とオナラはトランプでいえばジョーカーであると思える。

 

誰がどんなタイミングで繰り出してもほぼウケる。

言いかえれば笑いをとるためのリーサルウェポン(最終兵器)である。

 

だからオレは基本、裸芸はあまり好きとはいえない。

上品下品を問うつもりはない。

お笑いとはそもそもある程度の下品さがないと盛り上がりに欠けるものだと思う。

 

ただ脱いで騒ぐだけの芸は、品の問題じゃなく笑いをとりにゆく姿勢に楽しようという

のが感じられるのだ。

 

脱いで、見ている人間が笑って、それがオチではなく、脱いだその先にあるテクニックや

演出が最たる見せ場なのだ。

 

それを考えると、先日Rー1グランプリで優勝したアキラ100%はオレは好き(笑)

 

もちろん、あの芸風にアレルギーというか嫌悪感をおぼえる人も多いとは思うが

本人もそれは重々承知のことと思われる。

好きな人と嫌いな人がいるのは人それぞれだから別にどうのこうのいうつもりはない。

 

お盆1枚で大事なところを隠しながら、あらゆるアクションをするのだが、絶対に

見えないという、どこか昭和チックな芸。

 

大新聞のうちの一紙もテレビ評論の枠でアキラ100%についてのコラムで真剣に評価

したうえ、「素人は忘年会などで気軽にマネしないほうがいい」とまで書いていた。

 

オレも同感。

 

脱ぎ芸にさほど抵抗がない人間ならば、マネすることはたやすいだろう。

だけど、テクニックに雲泥の差があるのは結果を見るまでもない。

 

芸風的にはたしかに「くだらない」かもしれない。

 

観る人によっては「けしからん」「教育上子供に見せられない」芸に位置付けられる

だろう。

 

それは認めたうえで、芸のテクニックとしてはかなりすごいレベルだと思える。

本当に見えない!!のだから(笑)

 

その大手新聞のコラムでも書かれていた。

くだらなく見えるあの芸の裏側には、すごい量の訓練とネタを考える苦悩が存在していると。

だから、素人は気軽にやるべきではないと警鐘を鳴らしているのだ。

 

そうはいってもやはり忘年会シーズンなどになると、安全策をとって肌色のパンツなどを

履いて、偽全裸でアキラ100%のマネ芸をする人間もウジャウジャとでてくるのが予想される。

 

パンツを履いていれば、ミスっても見えることはない。セクハラになることもない。

だけど、横から肌パンツの一部が見えていて‘履いている’ってわかっている時点で

その芸は既に面白くないのだ。

 

そこで既に「絶対に見えない芸」ではなく、単純な「マネ芸」になってしまっている。

 

業界の事情はわからないから実際のところは知らないが、アキラ100%も生放送の

番組とかではおそらく前○りをつけているとは思う。

万が一映ってしまったら大事故だから。

 

しかし、素早く手首を捻ってお盆をひっくり返すテクニックなどで、どちらにせよ前○りもさえ

見えないのがすごいし、だからこそウケるのだ。

ちらっとでもそれが見えてしまったら、「なんだ、やっぱり一応隠しているんだ」と思い、

ヒヤヒヤ感がなくなり、ウケなくなってしまう。

 

オレの中でアキラ100%の芸は「けしからん」を突き抜けて、「すごい」の域に突入して

いる。

 

お笑いというのは誰もまったく傷つけずに笑いをとるのは難しい。

 

極端なモノマネなどをすれば、された側が不快になるかもしれないし、

ヒロシのような自虐ネタでもそれなりに自らを傷つけて笑いをとるに至っている。

 

人や自分を傷つけたりディスったりして、スベッたら最悪なのだ。

いじられたほうも不快極まりない。

 

デフォルメした他人のモノマネや、世間一般からけしからんといわれそうな芸を

やるからには、「絶対にウケないといけない」という覚悟と、中途半端じゃなく、

技量を伴ったゆえの内容が必要となる。

 

アキラ100%の芸が中途半端で、しばし失敗してチラチラと見えているようであれば

それはただの脱ぎ芸でしかないが、あれは本当にかなりの練習や研究を重ねている

ように見えて、オレは好きかもしれない。

 

アキラ100%はオレと同年代らしい。

彼の場合はあくまでお笑いが仕事であって、それでメシを食ってゆけるかゆけないかの

重要なことだから真剣さの具合が違うのは当然だし、そこは理解しているけど、

同年代のアキラ100%が、家で真剣に「見えないネタ」を考えてたり、実際に全裸になって

ひとり練習をしていると風景を思い浮かべると、オレはなんとなく嬉しくなる。

 

年齢とともにしゃべることやこだわり、信念がつまらなくなってくる同年代って多い。

 

報われるかもわからないバカらしい芸をテッテー的に極めることを自ら決めて、

真剣に研究しながら訓練してやり通せる人間が今の時代にどれほどいるだろうか。

 

年代が同じというだけでなくて、きっと人柄も感じる部分があるんだと思う。

 

裸芸は特に好すきなわけじゃないが、アキラ100%はなんとなく応援したい。

 

でも正直、全裸を基準とした「絶対見えない芸」にはバリエーション的にやはり限界が

あると思う。

 

それでもトークが面白ければ裸芸の弾が尽きてもお笑い界で生き残れるはず。

 

どうだろう?

トークはあまり聞いたことないけど、イケるのだろうか?