Lost in the departmentstore | 昭和80年代クロニクル

昭和80年代クロニクル

古き良き昭和が続いてれば現在(ブログ開始当時)80年代。昭和テイストが地味に放つサブカル、ラーメン、温泉、事件その他日々の出来事を綴るE級ジャーナルブログ。表現ミリシアの厭世エンタ-テイメント少数派主義ロスジェネ随筆集。

僕は大型百貨店で迷子になっちまった


求めているモノを探して店内を歩いているうちに


一階にはたくさんの靴が売っている


ニューバランスのスニーカー リーガルのローファー レッドウィングのエンジニアブーツ


だけど僕が探しているのはそんな靴じゃない


この惑星(ほし)の上をどれだけ渡り歩いても、決して他人の人生を踏みつけない靴だ


それを買って、あの人に贈りたい




僕は大型百貨店で迷子になっちまった


求めているモノを探して店内を歩いているうちに


四階にはオシャレなインテリア家具がたくさん売っている


ヨーロッパ調のライト 北欧風の帽子掛け 職人がデザインした傘立て


だけど僕が探しているのはそんな実用品じゃない


過去や憎しみを捨てることが出来るゴミ箱だ


それを買って、自分で使いたい




僕は大型百貨店で迷子になっちまった


求めているモノを探して店内を歩いているうちに


最上階のレストラン街には、たくさんの食べ物屋が並んでいる


高級寿司店 有名とんかつ店 行列スイーツ店


だけど僕が食べたいものはそんなもんじゃない


僕が食べたいモノ それは…………


それは、そう……×××





僕は大型百貨店で迷子になっちまった


迷っているうちにいつの間にか屋上にきちまった


探しているものは何もみつけられなかった


だけど、フェンスの向こう側にひとつだけ、あるモノを見つけることが出来た


それはこの世からの非常口


もう、一階まで降りる気力もないから


僕はエレベーターも エスカレーターも 階段も使わずに 下まで降りようか




僕は大型百貨店で迷子になっちまった



僕は大型百貨店で迷子になっちまった



僕は大型百貨店で迷子になっちまった




アスファルトの上に 深紅の花が一瞬で咲く 


明日の朝刊 社会面の片隅 僕の名前が小さい花のようにひっそりと咲く



La・La・La …… だけど数日経ったら、すぐに忘れられちゃうんだよ





<短編自作ノワール・番外編 /散文アレンジ社会風刺Ver〉 

(刺激強め注意)