昨日の「朝日新聞デジタル」より
トランス脂肪酸の禁止、米が決定「安全と認められぬ」
米食品医薬品局(FDA)は16日、マーガリンなどの加工食品に含まれ、動脈硬化などの原因になるとされるトランス脂肪酸について、2018年6月以降、食品に加えることを原則禁止すると発表した。13年に使用禁止の方針を打ち出し、科学的な検討を進めていた。最終的に「安全とは認められない」と判断した。
発表によると、トランス脂肪酸の直接の発生源となる、植物油を常温で固まるよう処理した「部分水素添加油」の使用が禁止される。FDAは「心臓病を減らし、毎年多くの命を奪う重い心臓発作を防ぐことができる」としている。マーガリンやショートニングなど多くの加工食品の原料になっており、食品業界は対応を迫られそうだ。
------------------------------------------------------------------------------------
上の記事では、トランス脂肪酸は「動脈硬化の原因になるとされる」と説明されていますが、それ以外にアトピーなどのアレルギーへの影響や不妊症のリスクが高まる可能性があるとされています。
日本でも、トランス脂肪酸は、様々な食品に含まれていますが、現在、表示の義務や含有量に関する基準値はありません。
WHOは、トランス脂肪酸の摂取量を総エネルギー摂取量の1%未満にするように勧告していますが、日本人の平均の摂取量は0.3%と推計されていて、内閣府の食品安全委員会は、「日本人の摂取量は少なく、通常の食生活では健康への影響は少ない」としています。
「平均摂取量が少ないから健康への影響は少ない」というのは、他の食品添加物でもよく出てくる言い分ですが、摂取量が少なくても、人体に害があるものと判断されたものを微量なりとも摂取して、それが繰り返されるとどういう影響が出てくるか?ちょっと考えるだけでもわかるのではないかと思います。
特にまだ体が十分に発達していない小さな子どもに、害はあるけど、まあちょっとだから大丈夫だろうと食べさせて、それが積み重なっていくとどうなるか?ということを考えるべきかと思います。
農林水産省が、私たちの身近にある食品のトランス脂肪酸含有率を調査したものがあるので見てみましょう。
農林水産「省食品に含まれる総脂肪酸とトランス脂肪酸の含有量」
食品群 | 品名 | 調査点数 | 脂質含有量(g/100g) | トランス脂肪酸 |
---|---|---|---|---|
穀類 | 食パン* | 8 | 2.8~6.0 | 0.030~0.32 |
食パン | 5 | 2.8~7.1 | 0.046~0.27 | |
ロールパン* | 5 | 7.9~22.4 | 0.14~0.47 | |
クロワッサン* | 6 | 17.1~26.6 | 0.29~3.0 | |
菓子パン | 10 | 2.9~20.2 | 0.039~0.78 | |
菓子パン | 4 | 2.8~13.8 | 0.15~0.34 | |
乾パン | 3 | 6.3~8.3 | 0.18~0.64 | |
即席中華めん | 5 | 4.4~23.7 | 0.024~0.38 | |
即席カップめん | 5 | 4.4~21.2 | 0.028~0.16 | |
味付けポップコーン1) | 1 | 36.8 | 13 | |
豆類 | 油揚げ | 4 | 19.4~32.5 | 0.12~0.22 |
がんもどき | 3 | 13.0~21.3 | 0.068~0.13 | |
肉類 | 和牛(肩) | 7 | 17.0~34.1 | 0.28~0.55 |
和牛(肩ロース) | 7 | 29.7~56.4 | 0.52~1.2 | |
和牛(サーロイン) | 7 | 26.5~57.3 | 0.54~1.4 | |
和牛(肩バラ、トモバラ) | 7 | 15.6~57.3 | 0.22~0.80 | |
和牛(モモ) | 7 | 7.9~33.7 | 0.12~0.81 | |
和牛(ヒレ) | 7 | 16.5~47.1 | 0.22~0.86 | |
輸入牛(肩) | 3 | 10.3~16.5 | 0.31~0.36 | |
輸入牛(肩ロース) | 4 | 9.0~25.9 | 0.51~0.88 | |
輸入牛(サーロイン) | 4 | 18.3~24.2 | 0.60~1.2 | |
輸入牛(肩バラ、トモバラ) | 4 | 8.2~21.5 | 0.24~0.49 | |
輸入牛(モモ) | 4 | 7.8~13.9 | 0.12~0.70 | |
輸入牛(ヒレ) | 4 | 8.9~13.9 | 0.24~0.54 | |
牛(タン) | 3 | 1.5~5.7 | 0.012~0.045 | |
牛(テール) | 2 | 7.2~15.6 | 0.12~0.13 | |
牛(心臓) | 2 | 13.6~14.7 | 0.25~0.48 | |
牛(肝臓) | 3 | 4.5~5.3 | 0.021~0.054 | |
牛(ハラミ) | 3 | 29.6~59.4 | 0.79~1.5 | |
牛(ミノ) | 2 | 0.9~5.6 | 0.005~0.11 | |
乳類 | 牛乳(種類別牛乳) | 21 | 3.0~5.0 | 0.069~0.13 |
低脂肪牛乳 | 1 | 1.5 | 0.036 | |
低脂肪乳 | 1 | 1 | 0.024 | |
乳飲料 | 3 | 1.0~4.6 | 0.024~0.19 | |
プロセスチーズ | 12 | 22.7~35.3 | 0.48~1.1 | |
ナチュラルチーズ | 15 | 22.1~36.8 | 0..50~1.5 | |
乳酸菌飲料 | 4 | 0.05~0.18 | 0~0.003 | |
ヨーグルト | 4 | 2.7~4.1 | 0.065~0.11 | |
練乳 | 4 | 0.2~9.3 | 0.005~0.23 | |
コーヒークリーム | 6 | 11.3~31.7 | 0.011~3.4 | |
生クリーム | 2 | 46.7~47.6 | 1.0~1.2 | |
コンパウンドクリーム | 2 | 27.9~41.1 | 9.0~12 | |
ラクトアイス | 4 | 5.1~13.4 | 0.008~0.27 | |
アイスミルク | 5 | 6.8~15.8 | 0.13~0.28 | |
アイスクリーム | 5 | 13.4~16.4 | 0.28~0.60 | |
脱脂粉乳 | 2 | 0.9~0.9 | 0.022~0.026 | |
油脂類 | バター | 13 | 81.7~84.7 | 1.7~2.2 |
マーガリン2) | 20 | 81.5~85.5 | 0.94~13 | |
ファットスプレッド | 14 | 56.4~79.0 | 0.99~10 | |
食用植物油 | 10 | 100 | 0.0~1.7 | |
食用調合油 | 12 | 100 | 0.73~2.8 | |
牛脂 | 1 | 100 | 2.7 | |
ラード | 3 | 100 | 0.64~1.1 | |
ショートニング | 10 | 100 | 1.2~31 | |
菓子類 | 米菓 | 8 | 0.40~34.8 | 0.003~0.62 |
ショートケーキ* | 7 | 14.7~25.0 | 0.40~1.3 | |
アップルパイ、ミートパイ* | 5 | 17.1~25.7 | 0.34~2.7 | |
デニッシュ* | 5 | 13.4~22.4 | 0.41~0.98 | |
シュークリーム | 4 | 15.3~28.2 | 0.26~0.93 | |
スポンジケーキ | 4 | 19.9~23.6 | 0.39~2.2 | |
イーストドーナツ | 4 | 24.3~29.1 | 0.27~1.6 | |
菓子パイ | 5 | 23.7~37.7 | 0.37~7.3 | |
半生ケーキ | 3 | 30.5~32.2 | 0.17~3.0 | |
ビスケット | 7 | 9.8~28.9 | 0.036~2.5 | |
クッキー | 8 | 14.0~32.6 | 0.21~3.8 | |
クラッカー | 6 | 12.0~27.2 | 0.049~0.81 | |
ポテトスナック | 16 | 12.7~39.3 | 0.026~1.5 | |
コーンスナック | 7 | 21.0~41.2 | 0.084~0.22 | |
その他スナック(小麦粉主原料) | 9 | 15.9~32.9 | 0.099~1.3 | |
チョコレート | 15 | 28.4~46.2 | 0~0.71 | |
調味料・香辛料類 | マヨネーズ及びマヨネーズタイプドレッシング | 8 | 70.6~79.3 | 1.0~1.7 |
ドレッシング | 1 | 33.3 | 0.49 | |
ドレッシング* | 5 | 0.1~51.9 | 0~0.88 | |
カレールウ* | 5 | 32.9~39.9 | 0.78~1.6 | |
ハヤシルウ* | 5 | 26.9~36.2 | 0.51~4.6 | |
その他のソース* | 5 | 1.8~10.0 | 0.032~1.1 |
※トランス脂肪酸含有量が1%を超える値を赤色の太字で表記している。
1) 未調理の「ポップコーンの基」を試料としている。
2)「マーガリン」の定義に合致しない「乳又は乳製品を主原料とする食品」を試料中に1点含む。
トランス脂肪酸は油脂類に最も多く含まれており、マーガリン、ファットスプレッド、ショートニングに特に含有量が多い製品があったほか、バター、植物油脂、動物油脂にも比較的多く含まれていました。
油脂類以外の食品で、トランス脂肪酸の含有量が1%を超える製品が含まれていた加工食品は、コンパウンドクリーム、生クリーム、コーヒークリームなどのクリーム類、ケーキ、パイ、ドーナツ、ビスケットなどの洋菓子類、マヨネーズ、チーズ、クロワッサン、ポップコーンなどで、いずれも油脂の含有量が多い食品でした。
また、牛肉の肩ロースやサーロイン、内臓肉である“ハラミ(横隔膜)”のように牛肉の中でも特に脂肪が多い部位にトランス脂肪酸が多く含まれていました。
牛肉や乳製品に含まれる主に天然由来のトランス脂肪酸の含有量の製品による差は小さく、一方で、加工食品に含まれている主に硬化処理された油脂に由来すると考えられるトランス脂肪酸の含有量には製品によって大きな差があることがわかります。
-------------------------------------------------------------------------------------------
頻繁に食べているものはありましたか?
子どもによく与えているものはありましたか?
食パンのトランス脂肪酸の含有量は低い結果が出ていますが、市販の食パンはトランス脂肪酸を多く含むショートニングやマーガリンが含まれているものが多いです。商品の原材料をチェックしてみてください。
また、洋菓子類、ポテトチップス、それから菓子パンなどは、特にトランス脂肪酸の含有量が高いです。
朝食に菓子パンを食べさせているご家庭はありませんか?
お菓子を食べさせて登園・登校させていませんか?
また、朝食はパンが中心ではないですか?
昨日の夜の残り物でいいですから、お子さんにはごはんと味噌汁を食べさせて送り出してあげてください。
このブログでも何度も書いていますが、食品を選ぶのは親(保護者)です。子どもではないのです。
子どもの体を日々作り上げているのは、親です。
アメリカで「安全と認められぬ」とされたものを食べさせるか、食べさせないか?
難しいことではないと思います。