一色さゆりさんの『神の値段』を読みました。

 

 


マスコミはおろか、ギャラリーのスタッフの前にも顔を出さない現代画家・川田無名。
この謎の画家の作品を一手に扱うギャラリーのオーナー・永井唯子が、ギャラリーが持つ倉庫の中で首を絞められて殺害された。
スタッフの田中佐和子は、生前唯子が香港のオークションに出品しようとしていた無名の1959年の作品を、彼女の遺志どおりに販売するため、唯子の代役となって身を粉にして働くが…



第14回『このミステリーがすごい!』大賞の大賞受賞作です。
デビュー作とは思えない安定感。
終盤に向けて、読者をぐいぐいと惹きつけていく力は、天性のものなのでしょうか?

川田無名は存在するのか?というところにはじまり、無名はどこにいるのか?そして、無名とは誰なのか?と続くのかと思いきや、突然コースを変えて、より深い謎へ…
起承転結で言う”転”なのでしょうが、切り替え方が実に見事。
香港のアートフェアへ向かうところがその入り口になっているのですが、舞台もガラリと変えて、本当に見事としか言いようがありません。

作者の一色さゆりさんは、アートに関する知識も豊富なようで、全編にわたる、特に終盤に見せた知識の豊富さは、話の面白さを後押しするものでした。

繰り返しになりますが、デビュー作とは思えない安定感。
他の作品も手に取ってみたいと思います。
 

 

 

 

 


にほんブログ村 小説ブログへ
にほんブログ村
coralの読書記録 - にほんブログ村