水原秀策さんの『裁くのは僕たちだ』を読みました。
高尾慎一は、衆議院のマドンナ・藤沢杏子が夫を殺害したとされる裁判の裁判員になった。
高尾が公園のベンチに座っていると、となりに若い女性が座り、突然、無罪と主張するために金銭を寄こせと要求するのは卑劣だと糾弾された。
注目の高い裁判だけに、裁判員を買収しようとする動きが実際にあるらしい。
高尾は自分の信念に基づいて、真偽を見極めようとするが…
水原秀策さんの作品はこれで2作目です。
前回読んだ『サウスポー・キラー』はプロ野球を舞台にした作品でしたが、今回は裁判。
裁判員のプライバシーなんて、結構簡単に暴かれてしまうんだなぁというのが第1印象。
被告の有罪か無罪かを素人である市民が判断するというのは、やっぱりハードルが高そう。
精神的なストレスも大きそうです。
そう言えば、裁判員制度って、なんのために導入されたんでしたっけ?
導入の思惑と現実が釣り合っているのか、再確認する必要があるんじゃないかなぁと思ってしまいます。
ジャンル分けするとしたら、どんでん返しものということになるでしょうか。
はじめから身元のよくわからない人物が何人も出てきて、それがどう繋がっていくのだろうと、わくわく。
高尾自身も完成された人間ではないので、何度もピンチに陥って、どきどき。
最後に、一気に真実が明らかになって、ほっと一息。
それにしても、謎解き部分をよくこれだけシンプルに纏めたなぁと、感心してしまいました。
過去の「水原秀策」記事