塩田武士さんの『罪の声』を読みました。

 

 


大日新聞文化部の阿久津英士は、年末企画『ギン萬事件――31年目の真実――』の担当として、社会部に借り出される。
ギン萬事件は、かつて日本を震撼させた食品会社脅迫事件だが、迷宮入りのまま時効を迎えていた。
一方、京都でテーラーを営む曽根俊也は、自宅で古いカセットテープを見つける。
テープに吹き込まれていたのは俊也の子供の時の声で、ギン萬事件で犯人が使用した音声だった。



題材となっているギン萬事件は、知らない人はいないと言っても過言ではないであろう、グリコ森永事件がモデルになっています。
グリコ森永事件を題材にした作品というと、内田康夫さんの『白鳥殺人事件』を思い浮かべてしまいます。
『白鳥殺人事件』では、当時報道されていなかった事実が含まれていたとのことですが、この作品はどこまで真実に迫れているのか気になります。

序盤は阿久津の取材の空振りなど、なかなか進展がない上、どこを目指しているのかというのもいまいちよくわからないため、あくびをかみ殺しながら(別にかみ殺す必要はないのですが)読んでいました。
中盤になって、ようやく塩田武士さんなりの推理が見えはじめ、終盤はすっかり読むのが楽しくなっていました。
欲を言えば、その面白さが序盤から続いてくれれば良かったのですが…

文庫で535ページという分量からも見てとれるように、かなりの力作。
そうとうグリコ森永事件についての取材をなさったんだろうなぁと感じました。

事件の裏には数々の人間の人生がある。
表には出ていないものの、この事件に翻弄された人たちは沢山いるのだろうなぁと、改めて感じさせられました。

 

 

 

 

 

 

 


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