島本理生さんの『ファーストラヴ』を読みました。

 

 


テレビ局アナウンサーへの就職にチャレンジしている聖山環菜は、2次面接で失敗したあと、父で画家の聖山那雄人が勤める美術学校へ行き、包丁で刺し殺してしまう。
テレビにも出演する臨床心理士の真壁由紀は、環菜のことを本にしないかと持ちかけられる。
さらに、環菜の国選弁護人として、由紀の義弟・庵野迦葉が弁護を担当することになる。



『よだかの片想い』を読んで、他にどんな作品を書く作家さんなのかな?と思って、この作品を手に取ってみました。
タイトルからも、甘酸っぱい恋愛小説?なんて思いながら読んでいたのですが、これは、どこが『ファーストラヴ』なんだ?って…
なかなか重い作品に仕上がっていました。

作品を読んでいると、どこか不安定な感じが。
迦葉は環菜の裁判で無罪、または大幅減刑を勝ち取るために活動しているのですが、由紀は、環菜の本を書くために、本人や周囲の人に話を聞いてまわっています。
由紀自身、この時点ではまだよくわかっていないのかも知れませんが、どういう本にしようと考えているのかがいまいち見えてこないため、不安定さに繋がっているのかなぁと。
それとも、方向性はわかっているのだけど、具体的な執筆の場面に繋がっていないことが、不安定さを感じさせる要因なのかな?

最後の裁判の場面については、ちょっと細部が粗いかなぁとも思いましたが、裁判ものの作品ではないので、簡潔に書いたと思えば納得できるレベルでした。

『よだかの片想い』からは(&タイトルからは)想像できないような内容。
ますます、島本理生さんの作品に興味が湧いてきました。

 

 

 

 

 

 

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