濱嘉之さんの『警視庁公安部・青山望 巨悪利権』を読みました。
大分県湯布院で、九州ヤクザの大物が殺害された。
殺害方法は、トリカブトの毒を塗った吹き矢を用いるという珍しいもの。
ヤクザたちが動き出すと読んだ警視庁は、九州に人員を送り込む。
やがて、警視庁とヤクザらの全面戦争へと発展する。
「警視庁公安部・青山望シリーズ」の6作目です。
このシリーズは12冊刊行されていますので、ちょうど折り返し地点になりますね。
それにしても、このシリーズのあらすじの書きにくさといったら…
一般的なミステリのように、事件が起きて、その後の展開が書かれていくのではなく、このシリーズでは、きっかけとなる小さな事件が発生し、そこからどんどん大きな事件に発展していくので、それをどう書こうかいつも悩んでしまいます。
今回の事件では、福岡県警への報告なしに、警視庁が捜査に乗り出していきます。
他の作者さんの作品を読んでいると、別の都道府県に捜査に行く場合は"仁義"をきって、というのが常識のように思えるのですが、こういったケースも存在するんですね。
この微妙なさじ加減は、警察組織の内部におられた濱嘉之さんならではのものではないでしょうか。
この作品では、独身のまま昇進を続けてきた青山望が、ついに同期の藤中克範の妻の従妹・武末文子との見合いに臨みます。
青山も、そろそろ年貢の納め時でしょうか。
今後の展開に期待が持てます。
一方で、同期カルテットの1人に重大事件が。
そこからのまくし立てるような展開は、警察の本気を見たような気がしました。
ただ、この一件が青山の結婚に不利に働かなければ良いのですが…
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