中山七里さんの『どこかでベートーヴェン』を読みました。

 

 


岐阜県立加茂北高校の音楽科に、岬洋介が転入してきた。
ピアニスト志望の岬は、他の生徒たちが足下にも及ばない突出した才能を見せつける。
夏休みの登校日、豪雨によって校舎裏の崖が崩れた。
さらに、通学路に架かるたった1本の橋が流されてしまう。
岬は丸太橋のように川の両岸に架かった電柱をつたって救助を求めに行ったが、学校に至る坂道の途中で、同級生の岩倉智生の他殺体を発見する。


中山七里さんのシリーズものというと、私はこの「岬洋介シリーズ」以外には「刑事犬養隼人シリーズ」と「御子柴礼司シリーズ」しか読んだことがないのですが(どちらもまだ制覇できていませんが)、「刑事犬養隼人シリーズ」と「御子柴礼司シリーズ」が時系列に沿って進んでいくのに対し、「岬洋介シリーズ」は時間が行ったり来たりしているのが気になりました。
作品によって時間が行ったり来たりするのにもちゃんと意味があって、前の作品で起きた事象はここから端を発していたのかと、感嘆すること複数回。
やっぱりこのシリーズも順番どおりに読んでいくのが正解のようです。

中山七里さんというと、『連続殺人鬼カエル男』に見られるように、グロテスクな描写や、「御子柴礼司シリーズ」で見られるように、攻撃的な感情が印象的なのですが、人の奥底の感情を描くのも上手いんだなということを改めて感じさせられました。
あまり感情を表に出さない岬洋介を見ていると、人の内面を描くのが苦手なのかな?と思ってしまうところですが、決してそうではないことがわかります。

ちなみに、このシリーズは、作品に出てくる楽曲を聴きながら読むのがマイブーム。
この作品だと、ベートーヴェンのピアノソナタ第14番〈月光〉と第8番〈悲愴〉ですね。
私の音楽の才能だと、中山七里さんの描写と耳から入ってくる曲をシンクロさせることはできないのですが、なんとなくイメージが湧いてきて面白いです。

ちなみに、『いつまでもショパン』で、必要かな?と首を捻ったパキスタンでの戦闘シーンが、この作品に繋がっていて、なるほどなと思わされました。

 

 

 

 

 

 

過去の「中山七里」記事

 

 

 



過去の「岬洋介シリーズ」記事

 

 

 

 

 

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