水野和敏さんの『プロジェクトGT‐R―知られざる成功の真実』を読みました。

図書館で借りてきた本なのですが、実は自分用ではなく小3の長男に借りてきた本です。
この本はビジネス書に分類されると思うのですが、うちの長男は文字を覚えるのが早くて、幼稚園の頃から何歳か年上の子供向けの本を読んでいました。そして今となっては興味を持ったものであればビジネス書でも読んでしまうようになってしまいました(漢字の読みは時々間違えていますが…)。

私にとっては、日産といえば水野和敏さん、柿元邦彦さん、カルロス・ゴーンさんの3人が頭に浮かびます(誰の名前も浮かばないメーカーも多いですが…)。
カルロス・ゴーンさんは言うまでもなく、鳴り物入りで1999年に日産の最高執行責任者の椅子に座り、見事に日産を立て直した人物です。
柿本さんは主に日産のレース畑でやってこられた方です。Super GTでも2004~2015年の間、日産系チームの総監督を務め、12シーズンで6回のシリーズチャンピオンを獲得するという偉業を成し遂げた方です。

そして水野さんですが、柿本さん同様にnismoに出向し、グループCカー時代の日産チームを率いて1992年にデイトナ24時間レース優勝、全日本選手権では全戦優勝といった成績を残しておられます。
でも、やっぱり水野さんは市販車(と言っても主にスポーツカー)のイメージが強いでしょうか。水野さんが開発に関わった車の一例を挙げると、R32型スカイライン、P10型プリメーラ、V35型スカイライン、Z33型フェアレディZ、FX35型FX、そしてR35型GT-R。

今回読んだ本はこのR35型GT-Rが本の中心となっています。

車好きとして、水野さんの名前や顔は何度も紙面や画面で拝見しているのですが、今回本を読ませていただくと私が勝手に持っていたイメージと少し違った方でした。
私はもっと完全無欠、心臓に毛が生えているような方をイメージしていたのですが、実際はもっと弱い部分を持った方でした。
なぜ私がそのように思ったかですが、これまでになかった車、R35型GT-Rを開発するには強いリーダーシップだけでなく、外野からの声で決してぶれない強い精神力が必要だと思っていたからです。
でも、実際にはちょっと違っていたようです。
水野さんにはきっと未来が見えているのだと思います。GT-Rにしたって、完成形が初めから頭の中に描けていたのだと思います。だからこそ、そこへの道筋ができていて、外野からの声に惑わされることなく、逆に周りを説得して行けたのではないでしょうか。

チームメンバーの鍛え方も独特ですね。字面だけを読むと少々ブラックなやり方なのですが、その結果がR35型GT-Rなのですから、メンバーの潜在能力や考える力を引き出す優れた方法なのでしょう。


ちなみに水野さんは日産を定年退職した後、1年契約の嘱託職員として1年働いたのですが、翌年に「後進に道を譲る」ということで契約を打ち切られています。
柿本さんも定年で日産から出ておられますが、道を譲られた後進が水野さんや柿本さんに代わる人物に育っているのかなぁ?と思うと疑問を感じてしまいます。
開発の最前線にいた人をいきなり「後進に道を譲る」という理由で抜いても…ねぇ。
アドバイザー的な立場で何年かいてもらった方が良いと思うのですが。この本を拝見した限り、水野さんはそういった立場になれば自分の意見を押しつけず、自ら成長できるようにうまく持っていくことができる人だと思うのですが。

 

 

 

 

 

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