「じわー、ジワジワジワワー」

 

あちこちの畑から不思議な音が聞こえてきます。

 

音のする畑には、ハクサイがたくさん残っていました。

 

近寄って耳を澄ますと・・・・やっぱり・・・ジワジワワー。

 

「何の音ですか。」と聞いてみました。

 

ハクサイさん「ここのところ急にぬくなったからねぇ。急いで花が咲く準備をしているんですよ。」

 

「準備ですか。どういう風に準備するんですか。」

 

ハクサイさん「見たまんまですよ。だんだん葉が広がっているでしょ。」

 

「そういえば、なんとなく開いているような感じですね。」

 

ハクサイさん「急がないと、花がうまく伸びられないですからね。」

 

「真ん中から花芽が伸びるんですね。」

 

ハクサイさん「そうですよ。音は、この葉の開くときに出る音なんですよ。」

 

「そうなんですね。この音は・・・春の音。」

 

ハクサイさん「そうなりますね。でも、まあ、春の音にしては、華やかさ、さわやかさに欠けるかもしれませんけどね。」

 

「でも、少しずつ、ジワジワくる感じがいいですよ」

 

ハクサイさん「ありがとうございます。花が咲いたら食べてみてください。おいしいですから」

 

「食べられるんですか・・・春の楽しみが一つ増えました。