「うーん、どうなんでしょう。」

 

何か、不安そうな声が聞こえてきました。

 

声は、先日まであの独特の香りをさせていた栗さんのようです。

 

「何か心配事でもあるんですか。」

 

栗さん「この時期はやっぱり心配ですよね。ちゃんと受粉したかどうかね。」

 

「受粉て・・・・。雌花さんのすぐ横に雄花さんの花粉がありますけど。」

 

栗さん「すぐそばにあるのは知ってますけど・・・・。この花粉ではダメなんですよね。」

 

「この花粉では・・・ダメ・・・って。こんなに近くにあるのに。」

 

栗さん「残念ながら・・。ちょっとわがままなんですけど、違う品種の栗の花粉が風に運ばれてきて、受粉しないとだめなんですよ。」

 

「また、面倒なことになっているんですね。あれだけ、雄花があるのに・・・。」

 

栗さん「そうなんですよね。風で運ばれないといけないので、たくさんの花粉がいるんですよ。」

 

「なるほどね。だから、栗の樹って、何本かまとまって植えられているんですね。」

 

栗さん「そうなんですよね。違う種類の栗を植えるんですよ。」

 

「そうなると収穫するは大変ですよね。混じらないんですか。」

 

栗さん「混じらないように、早生、中生、晩生の品種を混植されています。」

 

「だから何ですね。栗の花って、結構長い間咲いているような・・・。」