「今、満開ですよ。」

 

歩いていると上の方から声が聞こえてきました。

 

見上げると、鮮やかな柔らかい緑色の葉をつけた、柿の樹が・・・。

 

とはいっても、満開の花は見当たりません。

 

思わず・・・「満開・・・って言われてもねぇ。」

 

すると、「よく見てくださいよ。満開でしょ。」

 

といわれて・・・よく見ると、ありました。満開の花が。

 

「満開ですけど・・・地味ですねぇ。」

 

柿の花さん「そんなこと言わないでくださいよ。半年ぐらい前から準備していたんですから。」

 

「準備期間が長くてもねぇ。鮮やかな黄緑色の若葉と黄緑の大きながくと黄色の花びら・・・は・・・。」

 

柿の花さん「そうなんですよね。開花というのは、結構華やかな印象なんですけどねぇ。地味ですよね。やっぱり。」

 

「でもよく見ると、もう柿の実の形ができていますよね。」

 

柿の花さん「まあ、一応・・・真果なので・・・・。」

 

「・・・・・。でも、秋になると鮮やかな何とも言えない色になりますよね。」

 

柿の花さん「その色は有名ですからね・・・でもそれは・・・果実なので。」

 

「最近は、果実の色だけではなく、葉の色も彩とかで注目されていますよね。うーん。目立たないのは花の色だけ・・・・か。ざんねーん。」