ハングル能力検定(ハン検)の平均点・最高点数、出願者・受験者・合格者数がハン検協会のウェブサイトに公開されました。

 

1級の1次試験最高点が聞き取り&書き取りで37点、筆記で52点、合計89点!

合格率は受験者106人中20人の18.9%とのことで、稀に見る高得点かつ高合格率でした。

そして、今回はその合格者の中に私も含まれています!!

 

2020年秋に初めて受けてから、途中に引っ越しで(2021年に兵庫から東京に引っ越しました!)準備できなかった回を除き、5回受けてやっと合格です。

これだけ合格者が多いということは、試験が簡単だったか、あるいは同志が皆レベルアップしてきているか。。。後者だと信じたいところです。

1次試験を5回受け、過去問も約5年分(10回分)を繰り返し解いた印象では、今回が特別簡単とは思いませんでした。

ここ数年で韓国語学習者の数は相当増えているようなので、周りの同志がかなり力をつけて試験に臨んでいるんだなと驚くばかりです。

 

さて、3年かけてようやく合格したハン検1級ですが、これまでにやってきたハン検対策を備忘録として残しておきます。

 

■「語彙ゲー」攻略法

前回のブログでは過去問集と「ヨボセヨ!ハン検」を繰り返し解いたと書きました。

どちらも非常に大切な教材ですが、ただ解くだけでは教材活用度50%かなと後に感じました。

 

ハン検1級はいわゆる「語彙ゲー」です。

過去問は3周ほどすれば問題と正解をだいたい覚えてしまい、問題文をきちんと読まなくても答えが浮き上がって見えてきます。

しかし、それでは通用しないのがハン検1級です。

私はどの回も通算10~15周ぐらい解きましたが、頻出語彙は繰り返し「形を変えて」登場します。

聞き取りで登場した語彙が何回か後の試験では翻訳で登場、ということも多いわけです。

聞いて意味が分かるだけでは完全ではなく、当然ながら「日韓両方で」「聞けて」「理解して」「書けて」初めてその語彙を「習得した」といえます。

私もこれで数点落として70点に届かず(54回65点、56回61点、57回64点、58回68点)何度も涙しました。

たとえば、筆記では何度も登場していた「쏜살같이」という語彙が日韓翻訳問題で登場して、どうしても思い出せず書けなかったことがあります。

日常生活で登場頻度が低い語彙ほど、意識して日韓両方でチェックするようにしました。

 

「トウミ」も買いましたが、私にはなかなか使いづらい本でした。

私は高校大学受験では英語を武器に(他教科が弱すぎて)ギリギリで突破していました。

そのときも単語帳を使ったことはなく、長文読解に登場する語彙を文脈で理解することで語彙力を伸ばしていました。

トウミも単語帳なので私には難しく、ほとんど開かずに終わりそうです。

 

■急がば「課金」

2022年夏、3回目の不合格でモチベーションはダダ下がり、合格への道も見えず、自分が韓国語のプロとして10年以上も活動しているのに合格できないことは精神的苦痛でもあり、諦めたくはないけど勉強する意欲もなく、どうすべきか迷っていたところに運よくオンライン対策講座の情報を入手、既に開講してひと月以上が経っていましたが途中から追いかけて受講しました。

もともと、通訳案内士の試験対策も受験を決めたときから必要だと思う科目だけ(当時はソウルに住んでいたので)鍾路の時事日本語学院で対策講座を受講していたから一発合格できたことを思い出しました。

講座自体はもちろん、一緒に受験する同志の存在はモチベーション向上に不可欠です。

独学でブログや動画を参考にして勉強する方法ももちろんアリですが、私は「課金派」です。

ただ、ハン検1級は最初の受験時はコロナ真っ盛りで対面授業はもちろんなし、オンラインも1級対策となるとかなり少なく、当時はうまく見つけられませんでした。

 

私は「ミリネ韓国語教室」の講座を教えてもらい、受講しました。

授業は隔週で、当日の朝にその日の授業で解説する内容の小テストがメールで配られ、授業前に解いてから授業で解説を聞くスタイルです。

受検者が間違えやすいものを先生が小テストにまとめてくれて、どうして間違いやすいか、どう対策すれば間違いにくくなるかを会話しながら解説してくれます。

小テストで同志は全員正解、私だけ不正解ということも多く、恥ずかしい思いをすると当然忘れにくくなります。

恥の数だけ語彙力は伸びます!

 

小テストの元ネタになる教材が「トウミ例文集」です。

「トウミ」は例文がないことがひとつの弱点になっていて、万人受けしない理由だと思います。

ミリネの「トウミ例文集」は「トウミ」の語彙をジャンルごとに再分類、そして全ての語彙に例文をつけてあるので覚えやすさが段違いでした。

近日発売予定の「hanaの韓国語単語〈上級編〉ハン検1・2級レベル」は、この「トウミ例文集」に近いものになるのでは?と期待しています。

 

私にとっては覚醒ともいえるほど、この授業で語彙力が伸びました。

オンライン講座なので授業の動画で繰り返し復習できます。

平日は昼休みに事務所を出たら動画を回しっぱなしで、移動中は音声だけ聞いて復習していました。

結局、このときは1次試験で2点足りませんでしたが、もう少しで届きそうかなという希望が見えました。

 

その後も授業動画での復習と「トウミ例文集」を繰り返し、1次試験の3週間ぐらい前から過去問で実戦の感覚を思い出す作業をしておきました。

私が使った教材はこれだけです。

他にも良い教材は多いですが、たくさん持っていることよりも同じ教材を10周でも20周でも繰り返し「読んで」「見て」「聞いて」頭から抜け落ちないようにすることの方がずっと効率が良いと思います。

 

語彙力を伸ばすには一つひとつの語彙を「点」で覚えるのではなく、それぞれの語彙を関連付けて「点と点を線でつなぐ」ことで覚えやすさがかなり変わります。

何事も関連付けることは大切ですね。

ハン検1級語彙も類義語、反意語、ニュアンスの相違によるグループ化などで少しずつ広げていけば膨大な語彙も怖くありません。

 

過去のブログにも書いたとおり、私は韓国語を学んで3年でプロ通訳者としてデビューしましたが、3年間で業務に必要な最低限の語彙を取捨選択して身に付けてきたため、韓国語のプロとしてはどうしても語彙力が弱点でした。

それでも業務にほぼ支障がなかったので、弱点に気づかず「自分は韓国語かなりできる!」と勘違いしていました。

ハン検1級対策では、その驕りを一度リセットして自分の技量を見つめなおす良い機会になったと思います。

 

■2次試験は「音読」

めでたく1次試験に合格したので、そのまま2次試験対策に突入です。

2次試験は最初に自己紹介兼ウォームアップの雑談が数分あり、その後に問題文を1分で黙読、そして音読&問題文に関する質疑応答の流れで行われます。

 

私は職業が通訳者で普段から韓国語を使っていて、最近は韓国出張もあって空き時間があれば友人らと食事に行くこともあるので、会話自体はそれほど苦になりません。

ただし、2次試験で使用するエッセイのような文章を読む機会はほぼないので、毎日一つ以上の社説やコラムを読みました。

過去問は試験前日と当日に3~4回練習しました。

社説やコラムで練習したからか、過去問は短くて易しく感じました。

私は読むのが速い方ではないので、1分間黙読と音読を重点的に練習しました。

 

黙読は、段落ごとにできるだけ速くポイントをつかむため、段落の最初の文だけを読んで最後までいったらまた最初から段落の最初の文とキーワードになりそうな言葉を探しながら最後までいく、を時間を測って繰り返しました。

 

音読は発音や抑揚、文章の流れを意識してできるだけゆっくり練習しました。

速く音読することは速くしゃべることと同じで外国語学習にはプラスになりません。

音読が遅くても試験では減点対象にならないので、文章の流れを損なわない程度に限界までゆっくり音読しました。

実際の試験では、途中に何度も登場する語彙を間違えて読んだかも!?という部分があり、焦って発音が多少ブレてしまいました。

ブレると内容が頭に入らず、質疑応答で内容のことを質問されても内容を思い出せず、これもけっこう焦りました。

そういうこともあるので、練習では全くブレなくなるまで同じ文章を繰り返し音読すべきですね。

 

1次試験はギリギリではないものの、すごく高得点というわけでもなく

でも合格なら何でもOKです!

2次試験は通訳者の意地!?でオールSとれました!

 

友人に借りた過去問集が下3冊

それ以降は自分で買い足しました

 

■やっと合格してホッ

3年間の修業が終わり、嬉しさもさることながら「やっと解放された!」という気持ちです。

韓国語関連で取得できる資格のうち「全国通訳案内士」「TOPIK6級(6年前に期限切れ)」に「ハングル能力検定1級」をやっと加えられたことが嬉しいです。

もちろん、韓国語関連の資格は他にもあるし、韓国語を生業にして生きているからには一生勉強していくことには変わりありませんが、これで私の資格武装はひと区切りです。

 

今後は本業である通訳翻訳。。。なかでも文芸翻訳をいつか少しでもかじれるように気持ちを新たに始めてみようかと構想を練っています。

しばらくは日常業務では触れられないジャンルの韓国語に触れつつ、ハン検1級語彙を少しでも頭に定着させるべく、細々と勉強を続けます。