S.B.のちょっと怖い話⑩ | MY SONG IS BAD

S.B.のちょっと怖い話⑩

昔、俺がまだ東京に居た頃の話。

その日もやっぱり徹夜でさ。ようやく家に帰って来てさ。落ち着いてチャーハンとライスを食ってたらさ、チャイムが鳴るんだ。

午前四時に訪ねて来るなんて非常識だなあと若干苛々しながら玄関に向かったんだけどさ。

ふと背筋に嫌な予感が走ったんだよね。


ゾクッと。


これはー、もしかしたらー…とか思いながら覗き穴から見てみたら、聞こえるんだよ!


「Hai」


南米のファイターだ…
「またかよ…なんなんだ一体」

俺はため息混じりでドアを開けた。そして聞いた。

「どうした?こんな夜中に」


「Fuck…」


「ほら。」
俺は脱衣所からタオルを取って頭をガシャガシャと拭いてやった。


「Oh…No!No!!」

「あー、タオルが陰毛まみれみたいになっちまった」

よく見ると男はとても分厚い胸板をしていた。吸い込まれそうな程大きな口に、黒く鍛えぬかれた肌。怒りと切なさを混ぜたような野性的な表情がドキッとさせる。

「Don't you afraid??」


「なんで?」


「Hmm…I'm hungry」

男は笑いながら呟いた。


「腹減ってんのか?飯食うか?」

クゥゥ…男のお腹が鳴る。


「ホラ、入れよ」

コクッとうなずく男。


「チャーハンとライスしかないけど、どっちがいい?」

「…Rice」

「こっち?」
俺はライスを差し出した。


コクッとうなずく男。
「Solt…」
泣きそうに喋る男。


「おう。あるよあるよ。ホレ。」


買い置きの伯方の塩をかけてあげたら、男は変な箸の持ち方で食べ始めた。


するとどうだろう。

男は喉を押さえて苦しんでいる。


「ガ、ガァァァァ」

「馬鹿が!簡単に信じやがって!」


「nodoga…!!!」


「うるせえっこのっ!」


必殺・子安キック!


南米ファイターの金的にヒット。


余りの痛みにファイターは今食べたごはんと昼飯の焼きそばを吐き出してしまった。


コウガンを潰されると、大抵の男は余りの痛みに嘔吐してしまうのだ。


その激痛は想像を絶する。良い子は絶対に真似をしてはいけないぞ。