S.B.のちょっと怖い話⑧
昔、俺がまだ東京に居た頃の話。
とある漫画家のアシスタントをしながら漫画を書き続けていたんだ。
作業は毎日深夜にまで及び、帰るのは大体2時くらい。
途中で神社の近くを通るんだけど、ここに行くまでの道が怖い。
柳か竹かわかんないけど、トンネルみたいになっててまるで冥界に繋がってそうな雰囲気さえある。
考えまいとする程にそういう時って気になるんだよね。
音が。
ヒューヒュー。
カサカサ。
なんだかすべての音が怖く聞こえる。
ゴウゴウ。
カランカラン。
Hey!
出た…南米のファイターだ…
「Wait!! your power is small」
「なんだとこのっ!」
俺の渾身のローキックがファイターの左ふくらはぎにヒット…しなかった!
あいつ、スウェーを覚えてやがる。
感心している隙に相手のサモアンフックが俺のコメカミにヒット。
「あいだっ!」
「Hahaha!!」
キレた。俺はブチキレた。
正確にはキレたフリをしていた。
何故俺がローに固執していたか。
それは相手に攻撃を読ませ、認識させる為だった。
ーブラジリアンキックー
ローからの軌道を膝から変えて相手の上段に叩き込む、空手ならではのキックだ。
「ゴッ!」
「No!!」
倒れ込むファイター。
俺は名前を聞いた。
「I am スーザン・ボイル」
「No!!お前はスーザンボイルではない!混乱してんのか!」
「Sorry…」