S.B.のちょっと怖い話⑤
俺には霊感と言うものが無い。
自慢じゃないが、見た事もないし、感じた事もない。
かわいい娘の霊なら、感じてみたいかな?なんてクソみたいな事を考えながら過ごしてんだけどさ。
苦節26年目にしてついに見ちまったんだよ。
布団を被って寝てるとなんだかやけに胸の辺りが重く息苦しい。
体も動かない。
「や、やばい…金縛りかも…」
すると、吐息が聞こえだした。
「ハァ、ハァ、」
「いるいるいる!これはヤバい!な、ナンマンダブナンマンダブ!」
「ハァ、ハァ、」
なんだか床屋の臭いがする。マンダム?
「ハァ、ハァ、俺はあんたの男気に惚れたんだ…」
「え…えっ!?」
「あ、アニキと呼んでいいですかい?」
「なに!?なにこれなにこれ!?」
「お願いだよ、アニキ」
耳をコリッと噛まれた所で俺は目が覚めた。
目が覚めたと言うのは、夢から覚めたと言う事で、あっちの世界に目覚めたわけではない。