学習塾で使用するテキストの職務著作物性(公表要件)が問題となった事例

 

▶平成11年10月29日東京地方裁判所[平成9(ワ)14979]▶平成12年10月26日東京高等裁判所[平成11(ネ)5784]

[控訴審]

6 控訴人は、「教育研究会VERITAS」は、本件塾の名称ではなく、控訴人ら講師グループの名称であり、このことは、被控訴人の発行したパンフレットにも明記されているものであるとして、本件各テキストは、被控訴人の名義の下で公表されていない旨主張する。

しかしながら、控訴人ら講師は、被控訴人の従業員であり、その従業員である講師が遂行する業務が、被控訴人の業務でないはずがなく、その業務に係る名称として「教育研究会VERITAS」を使用しているのであり、その場所も、被控訴人の事業所を使用しているのである。控訴人の主張は、失当である。

また、控訴人は、本件各テキストは、すべて講義の一か月以上前に、表紙、フッダー・ヘッダーなどは全くない状態で、著作物として完成していたものであり、この段階で既に著作権が執筆者たる控訴人に帰属していたのであるのであって、控訴人に著作権が帰属する旨主張する。

しかしながら、法人著作の要件の一つである、公表に当たっての法人名義の有無は、創作の時点において、当該著作物が、法人等の名義で公表されるべく予定されていたかどうかによって決せられると解するのが相当であり、本件各テキストが、被控訴人の名義で公表されるべく予定されていたものであることは前示のとおりである以上、講義に使用する一か月以上前に表紙、フッダー・ヘッダーなどが全くない状態で完成していたことによって、法人著作の成否が何ら左右されるものでないことは、明らかというべきである。控訴人の主張は、失当である。

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