夜景の画像の写真著作物性及び侵害性を認めた事例

 

▶令和元年6月26日東京地方裁判所[平成31(ワ)1955]

1 争点1(本件投稿による権利侵害の明白性)について

(1) 争点1-1(本件画像の著作物性・原告の著作権)について

ア 本件画像の撮影者について

証拠及び弁論の全趣旨によれば,本件画像の右下には原告の氏名のローマ字表記と合致する「NIGHT VIEW PHOTOGRAPHER X」との表示がされていること,原告が管理する「夜景 INFO」とのウェブサイトにおいて本件画像と同じ画像が公開されていること,上記表示が埋め込まれる前の本件画像のデータを原告が所持していることが認められ,これらの事実からすれば,本件画像は原告が撮影した上で上記の表示をするなどの加工をしたものと認められる。

イ 本件画像の著作物性について

証拠及び弁論の全趣旨によれば,本件画像は,夕方に横浜ベイブリッジを中心とする風景を撮影した写真であるところ,手前の陸地が映らないようにされ,横浜ベイブリッジの背後の風景や月が取り込まれるなど,構図,アングル等を工夫して撮影されたものと認められるから,写真の著作物であると認められる。

ウ 原告の著作権について

以上によれば,原告は,本件画像を撮影した著作者であり,本件画像の著作権を有する者と認められる。

(2) 争点1-2(違法性阻却事由の不存在(適法な引用の成否))について

ア 適法な引用の成否について

証拠及び弁論の全趣旨によれば,本件投稿者が,本件記事内に本件画像を掲載したのは,本件画像自体についての批評等をするためではなく,夜間にライトアップされた横浜ベイブリッジの様子を示すために,その例として使用したものと認められる。

しかしながら,上記の目的のために,本件画像を使用する必要性が高いとまではいえない上,本件記事において,本件画像に前記(1)アの表示がされたままであるとはいえ,本件画像について,その出所や,本件投稿者以外によって撮影されたものであることが明示されていたとは認められないことも併せ考慮すれば,本件記事における本件画像の使用は,引用の目的上正当な範囲内のものであるとも,公正な慣行に合致するものとも認められないというべきであり,適法な引用(著作権法32条1項)には該当しない。

イ そして,本件全証拠によっても,本件画像の掲載について,その他の違法性阻却事由をうかがわせる事情は認められないから,本件投稿によって,原告の著作権(複製権及び公衆送信権)が侵害されたことは明らかである。

 

夜景の画像の写真著作物性及び侵害性を認めた事例

 

▶平成31年4月17日東京地方裁判所[平成31(ワ)2413]

1 証拠及び弁論の全趣旨によれば,本件各画像は,いずれも(省略)から眺望した夜景を撮影したものであるが,本件画像1は,長時間露光によって街明かりを写し込み,絞り込むことで手前の街明かりから遠くの街明かりまでピントが合うようにするなどして撮影されたものであること,本件画像2は,シャッターを8秒間開け,被写体のカップルが止まった状態できれいに写るようにタイミングを見計らってシャッターを切るなどして撮影されたものであることが認められる。このように,本件各画像は,絞りやシャッターチャンスの捕捉,構図やアングルなどを工夫して撮影されたものであるから,写真の著作物であると認められる。

また,原告が運営する「夜景INFO」という名称のウェブサイト(以下「原告ウェブサイト」という。)に掲載された本件各画像の右下には「Copyright(c)Night View Photographer X」と記載された著作権表示がされ,原告の姓と名のイニシャルにおいて一致していることや,原告が本件各写真のデータを所持していることからすれば,原告が本件各画像を撮影した著作者であり,その著作権を有する者と認められる。

したがって,請求原因(4)は認められる。

2 証拠によれば,本件発信者が本件ブログページに掲載した画像と本件各画像は,被写体や撮影方向等が同じであり,右下に「Copyright(c)Night View Photographer X」の表示があることも共通しているから,同一のものと認められ,請求原因(2)が認められる。

そして,本件発信者による本件各写真の画像データの入手先は原告ウェブサイト以外に考え難いことからすれば,本件発信者は,原告ウェブサイトから本件各写真の画像ファイルを複製した上,本件ブログページに掲載(アップロード)して,上記画像ファイルを送信可能化したものと認められる。そうすると,原告は,本件発信者に対し,著作権(複製権,送信可能化権)侵害を理由とする損害賠償請求権を有するところ,原告が本件発信者に対してその権利を行使するためには,本件発信者情報の開示が必要である。

【より詳しい情報→】http://www.kls-law.org/