シミュレーションゲームソフト映画作物性を否定した事例

 

▶平成11年03月18日東京高等裁判所[平成7(ネ)3344]

(一) まず、本件著作物は、いわゆるシミュレーションソフトの分野に属するゲームソフトであり、ユーザーの思考の積重ねに主眼があるものということができ、そのプログラムによって表されるディスプレイ上の影像の流れを楽しむことに主眼をもっているものでないということができる。そして、本件著作物におけるプログラムはフロッピーディスクに記憶されてユーザーに供給されており(被控訴人プログラムが対応するNECのPC9800シリーズ又はエプソンのPC286/386シリーズのパーソナルコンピューター用の本件著作物は、三枚の2HDフロッピーディスクに収められて出荷されている。(証拠)、その中には影像及び効果音に関するプログラムのみならず、シミュレーションに関するプログラムも含まれていることからすれば、ディスプレイに現れる影像及び効果音に関するデータ容量は極めて限られたものとなっていることが明らかである。影像も連続的なリアルな動きを持っているものではなく、静止画像が圧倒的に多い。本件ゲームで動画画像が用いられているのは、軍事戦争場面など一部にとどまり、軍事戦争における戦闘シーン、一騎討ちシーンなどの個々の影像も、右のようにフロッピーディスクに収容できる程度のデータ内容及びプログラムで動作させるため、定型データを利用するものとなっていて、同じ内容の定型的な画像及び効果音がたびたび現れるものにとどまっている。そして、本件ゲームにおいては、ユーザーがシミュレーションにより思考を練っている間は、静止画の画面構成の前で思考に専念できるよう配慮されているものというべきである。

以上の事実関係からみれば、本件ゲームは、映画の効果に類似する視覚的又は視聴覚的効果を生じさせる方法で表現されているものとは認められず、本件著作物が、映画ないしこれに類する著作物に該当するということはできない。

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