【著作隣接権】著作権法第89条の解説です 3/3

 

▶実演家人格権その他の権利

 

実演家については、その人格的利益を保護するため、著作者人格権に類似した「実演家人格権」が与えられています(1項参照)。一方、レコード製作者、放送事業者、有線放送事業者には著作者人格権や実演家人格権に相当する権利(人格権)が規定されていませんが、このことは、これらの者の人格的利益を否定する趣旨ではなく、彼らの人格的利益については民法の一般規定による措置に委ねたものと解されます。さらに、実演家に対しては、「放送される実演の有線放送に関する報酬請求権」、「貸レコードに対する報酬を受ける権利(期間経過商業用レコードの貸与に関する報酬請求権)」及び「商業用レコードの二次使用料を受ける権利」が認められ(1項参照)、レコード製作者に対しては、「商業用レコードの二次使用料を受ける権利」及び「貸レコードに対する報酬を受ける権利(期間経過商業用レコードの貸与に関する報酬請求権)」が認められています(2項参照)。

なお、「著作隣接権」からは、実演家とレコード製作者に認められている「報酬及び二次使用料を受ける権利」(1項2項参照)が除かれています(6項)。これは、「著作隣接権」が物権類似の排他性を有するのに対し、「報酬及び二次使用料を受ける権利」は特定の相手に対する債権であり、権利の性質が異なるため、権利侵害等の場面で、両者を異なった扱いとする必要があることによるものです。

 

《実演家の実演家人格権》

〇 氏名表示権(90条の2)

〇 同一性保持権(90条の3)

 

▶無方式主義(第5項)

 

著作隣接権及び実演家人格権はともに、著作権及び著作者人格権と同様に、その権利の享有にいかなる方式の履行(例えば、文化庁などの公的機関への申請や登録など)を必要としません(5項)。このような考え方を「無方式主義」と呼んでいます。実演家等の権利は、何らの手続を要することなく、実演、レコード(音)の最初の固定、放送、有線放送が行われた時に、その事実によって自動的に発生することになります(これらの行為をするだけで権利が付与され、著作物(著作権)に求められる「創作性」は権利付与の要件となっていません)。

【より詳しい情報→】http://www.kls-law.org/