ゲームソフト中のキャラクターのコスチューム画像を改変し得る編集ツールによって作成されたメモリーカードを使用につき、同一性保持権侵害を認定した事例

 

▶平成14年08月30日東京地方裁判所[平成13(ワ)23818]▶平成16年03月31日東京高等裁判所[平成14(ネ)4763]

(2) 本件ゲームソフトの映像は,思想又は感情を創作的に表現したもので,文芸,学術,美術又は音楽の範囲に属するものとして,著作権法2条1項1号にいう著作物ということができるものと解される。そして,上記(1)で認定した事実によると,本件編集ツールによって編集された本件メモリーカードを使用して,本件裸体画像を表示することは,本件ゲームソフト中の「かすみ」のコスチュームの映像を改変するものであって,原告の本件ゲームソフトに対して有する同一性保持権を侵害するものと解するのが相当である。なぜなら,上記(1)で認定した事実によると,通常市販されているメモリーカードを使用した場合には,「かすみ」の使用可能なコスチューム数の最大値は6であって,本件裸体画像を表示することはできないところ,本件メモリーカードを使用することによって,上記コスチューム数の制限を超え,本件裸体画像を表示することが可能になるからである。

以上のとおり,通常市販されているメモリーカードを使用した場合には,表示されない本件裸体画像が,本件メモリーカードを使用することによって,表示される以上,上記(1)認定のとおり,本件ゲームソフトには,「かすみ」の裸体画像が3Dポリゴンデータの形式で格納されており,また,オープニングムービー中に「かすみ」の裸体画像が表示され,その他,前記において被告が主張する事実が存するとしても,これらのことは,上記同一性保持権を侵害するとの認定を左右することはないというべきである。

 

[控訴審同旨]

2 本件同一性保持権の侵害について

(1) 本件ゲームソフトは,ユーザーが,「ストーリーモード」を選択してプレイした場合,各キャラクターの対戦成績に対応してコスチューム数が増加し,「かすみ」においては,初期段階では2種類のコスチューム(「C1」は忍装束(青),「C2」は忍装束(白))から選択することができるにすぎないが,対戦相手との戦闘に勝利してゲームをクリアするごとに選択可能なコスチュームが増え,最終的には,6種類のコスチューム(「C1」は忍装束(青),「C2」は忍装束(白),「C3」は忍装束(赤),「C4」は忍装束(黒),「C5」は制服,「C6」は制服(冬服))を選択することができるようになるという設定となっているものであることは上記1の(1)アのとおりである。ユーザーが,通常にプレイした場合,対戦画面において「かすみ」が本件裸体影像で対戦相手と戦闘することはないのに対し,本件メモリーカードを使用すると,「かすみ」が本件裸体影像で対戦相手と戦闘することができるようになるものであり,これは,本件ゲームソフトの対戦画面の影像ないしゲーム展開が,本来予定された範囲を超えたものである。したがって,本件メモリーカードの使用は,本件ゲームソフトを改変し,本件同一性保持権を侵害するものというべきであるところ,本件編集ツールは,本件編集による本件メモリーの作成のみを目的とするものであるから,専ら本件ゲームソフトの改変のみを目的とするものと認めることができ,これを収録した本件CD-ROMを販売し,他人の使用を意図して流通においた控訴人は,他人の使用による本件同一性保持権の侵害を惹起したものとして,被控訴人に対し,不法行為に基づく損害賠償責任を負うものというべきである(最高裁平成13年2月13日第三小法廷判決参照)。

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