法61条2項の「推定」を覆した事例
▶平成28年10月25日東京地方裁判所[平成28(ワ)360等]▶平成29年4月27日知的財産高等裁判所[平成28(ネ)10107]
[控訴審]
ウ 控訴人らは,本件譲渡契約の譲渡対象に本件先行ソフトウェア部品プログラムが含まれているとしても,本件先行ソフトウェア部品プログラムに係る著作権法27条及び28条に規定する権利は,控訴人B社に留保されている(同法61条2項)旨主張し,控訴人X₁の供述中には,これに沿う部分がある。
しかしながら,前記認定の本件合意及び本件譲渡契約の内容からすると,控訴人B社とS社は,控訴人B社の全従業員を,指定会社に移籍させ,控訴人B社がS社にBSS-PACKに係るプログラムについての権利を譲渡し,指定会社が,S社から委託を受けて,控訴人B社が行っていたBSS-PACKに係る事業を継続することとして,控訴人B社の側では,控訴人B社の従業員の雇用とBSS-PACKに係る事業の継続等を指定会社において確保し,S社の側では,BSS-PACKに係る事業から得られる収入を得ること等を意図して,本件合意及び本件譲渡契約をしたと認めるのが相当であり,このことに鑑みると,BSS-PACKに係る著作物の翻案権等(著作権法27条)及び二次的著作物利用に関する原著作者の権利を控訴人B社に留保するということは,本件合意及び本件譲渡契約の趣旨に反するものであって,不自然である。
また,前記認定事実によると,本件譲渡契約により譲渡された本件登録プログラムについては,本件譲渡契約において,著作権法27条及び28条の権利の移転につき明文がないにもかかわらず,著作権法27条及び28条に規定する権利を含む著作権の譲渡がされた旨の登録がされている。
さらに,前記認定事実のとおり,本件合意及び本件譲渡契約においては,本件登録プログラムである「上記(1)の著作物」の「バージョンアップ等改良後のプログラム著作物,その他関連する一切のプログラム著作物」である「(2)非登録プログラム著作物」及び「上記(1)及び(2)のプログラムの関連著作物 ユーザーズガイド一式及び環境開発マニュアル一式に係る著作物」が譲渡対象とされている。
以上からすると,本件譲渡契約では,著作権法27条及び28条に規定する権利を含めて著作権を譲渡する旨の合意があったと認められるのであって,同法61条2項の推定は覆ったというべきである。
したがって,控訴人X₁の前記供述部分は,採用することができず,控訴人らの前記主張は,認められない。
【より詳しい情報→】http://www.kls-law.org/