【映画の著作物の著作権の帰属】著作権法第29条及び著作権法第2条(定義)第1項第10号の解説です 2/2
「映画製作者」の意義(2条1項10号)
以上の解説の中で「映画製作者」という用語が何度か出てきました。この用語については著作権法に定義規定が設けられています。すなわち、「映画製作者」とは、「映画の著作物の製作に発意と責任を有する者」(2条1項10号)をいいます。映画製作に関し具体的にどのようなことをする者がこの「発意と責任」を有する者に該当するかについては、若干解説を要します。映画製作は、一般に、多額の製作費を必要とし、その製作主体の企業活動として行われます。そのため、「映画製作者」と認められるためには、単に映画を企画(「発意」)するというだけでは不十分で、自己の企業活動として、そのビジネス上の収支計算とリスク(危険)を負担して(「責任」をもって)当該映画製作を遂行する主体であることが求められると解されます。そして、映画製作は、企画からはじまって、資金調達、制作スタッフやキャスト等の雇い入れ、キャッスト等のスケジュール管理、プロモーションや広告宣伝活動、配給などの複合的な活動から構成されるため、映画を製作しようとする者は、映画製作のためにさまざまな契約を締結する必要が生じ、その契約によって、多様な法律上の権利を取得し、また、義務を負担することになります。したがって、「映画製作者」が誰であるかの決定は、以上のような活動を実施する際に締結された契約により生じた法律上の権利義務の主体が誰であるかを基準として判断することが一般的に合理的であるといえそうです。
放送事業者・有線放送事業者への原始的帰属(2項,3項)
本条第2項及び第3項は、「専ら放送事業者が放送又は放送同時配信等のための技術的手段として製作する映画の著作物」(2項)、「専ら有線放送事業者が有線放送又は放送同時配信等のための技術的手段として製作する映画の著作物」(3項)については、その製作目的の観点や、(有線)放送用の番組は劇場用映画の製作コストに比べれば小さいことなどを考慮して、(著作権全部ではなく、その支分権のうち)当該放送又は当該有線放送に関連する権利のみを放送事業者又は有線放送事業者に(原始的に)帰属させれば足りることから、その旨(特則)を規定したものです。
なお、第2項及び第3項は、「専ら」放送事業者又は有線放送事業者が製作する映画の著作物について適用があるため、放送事業者又は有線放送事業者が映画会社等と共同製作する映画の著作物や、外部のプロダクションに委託して制作(製作)されるテレビ番組については、同項は適用されず、第1項が適用されるものと解されます。
【より詳しい情報→】http://www.kls-law.org/