プログラムの「使用」は著作権の侵害となるか

 

▶平成21年02月26日大阪地方裁判所[平成17(ワ)2641]

本件の場合は,前記認定のとおり,本件プログラムの複製物の使用について,対価を支払う旨の合意があったことを認めることはできない(商法512条は,委任,準委任,事務管理など,他人のためにある行為をしたときは,有償の合意がなくても報酬請求できる旨を規定したものであるが,著作物の使用は,後記のとおり,許諾がなくてもできる(著作権を侵害するものではない)ものであるから,本件プログラムの開発費用についていうのであれば格別,被告スチールの使用それ自体について,原告は「他人のために行為をした」ということはできない。)。

(略)

本件では,原告は,本件プログラムの複製物(本件プログラムが書き込まれた部品であるロム)を作成して本件装置に設置し,本件装置は,最終的に被告スチールに納入されたものであるところ,上記の本件プログラムの複製は,著作権者である原告自身が行ったものであるから,原告の著作権を侵害するものではない。そして,被告スチールの行為は,適法に複製された本件プログラムの複製物を本件装置において使用しているにすぎないものであるところ,その行為は,著作権法第二章第三節第三款「著作権に含まれる権利の種類」(21条ないし28条)に規定されている権利のいずれを侵害するものでもないし,複製が適法である以上,著作権法113条2項[注:現5項]の場合にも該当しない。

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